『機械仕掛けの街』~【46】 (47号へ続く)
リレー小説
「何で生きているか、だと?」
目の前の男は怒りを含んだ声がでそう言った
「私を殺したお前がよくそんなことを言えるものだ」
「自業自得だろう、お前が魔元石に手を出したからだ」
千名と呼ばれたその男は剣を構えた
「そういえばお前は名前を変えたのか、そんな格好までして別人に化けたいようだな?」
「関係無い、今の俺は『キスタ』だ、それ以上でもそれ以下でもない」
「・・・・・・姿は変わっても、その性格は変わらないなぁ」
キンッ!
剣が重なる音がする
「もうお前は必要無い、カンジュやアシュノが立派に働いてくれたよ」
キキン!
「ああ、あの出来損ないの人形達か?まだ残っているのか?」
キンッ!キンッ!
段々とスピードが上がっていく
「答える必要は無いだろ」
ギキキキキキンッ!
「その答えは『はい』と言っているようなものだ」
キンッ!
剣を合わせたままお互いの顔を見る
「ああいるよ、あいつはもうお前より断然強い!」
キンッ!
キスタが男の剣を弾く
「終わりにしようか、センナ」
カルテ№13728
名前:センナ・ハルイット・ラウ(12)
性別:男
病名:解離性同一性障害
11月19日
記載者:トール・ハーコ
一般的に多重人格と言われている病気
魔法、条法、錬法、回帰法などを試しても一行に治る気配は無く、周囲の状況によって治るケースがあるらしいが、彼のそれはこの特殊な病気の中で更に特殊だった
まず人格の数が異状で、その数は確認しただけでも約200
おそらくこれでもまだ半分程度だろう
なにせ、彼は一つ物事がある度に新たな人格を作り上げる
今日新たに現れたコトミという少女の人格は長年こういう経験をしてきた私ですら恐怖を感じた
なにせフォーク一本で壁を粉々に破壊してしまった
その人格はしきりに『私を殺せ』と言っていた
緊急手段として動物捕獲用の麻酔弾を使用した
「強くなったじゃないか、セ――」
ドスッ!
「ぐっ・・・」
「その名で俺を呼ぶな」
キスタは剣に付いた血を拭い、再びセンナに剣を向ける
「吐け、お前の知る情報を洗いざらいにだ」
その言葉にセンナはニヤッと笑った
「一緒に遊ぼう、コトミ」
『なんだか、俺のけもので派手にやってくれてるなぁ』
「今は黙っててくれないか?ブラッド」
キスタは剣を構えたままブラッドの方を見向きもしないで言った
『・・・先に帰っていいか?』
「駄目だな」
千名はブラッドに言った
「何故だ!コイツは関係ない!」
「いや、その者も来てもらう、そいつは珍しい能力を持っているからな」
『やれやれ・・じゃぁ俺は見学でもしとくよ』
ブラッドは崖に腰を掛けた、その瞬間だった、千名は剣をブラッドの喉元に突き立てた
『おいおい・・なんだよ』
「油断するな、死ぬぞ」
千名はブラッドを見下した
「あれ?此処違うんじゃねぇの?」
リナイトがそう言った
「おかしいなぁ、地図では此処だけどね」
バソウが返事した、三人が来たのは海岸だった。目の前に海が広がり、海の家が建っていた
「だまされたね」
ソウバスは笑いながら言った
暫くするとアルテマ・ドミス・ガノンまでやって来た
「あぁ?なんでお前らがコンナとこにいる?」
アルテマが聴いた
「まさか、おんしゃんらも全員だまされちょったけん?」
「ッチ、最悪だ」
6人は口々にため息を付いた、しかしナンバーズ件は誰も言わなかった
「そういえば何で鬼のメンバーが此処に集まってるの?」
「そういえばそうじゃなぁ・・なんででじゃろか?」
皆記憶を失ってしまったのである。覚えていることは自分が鬼・名前・鬼のメンバーぐらいであった
「そういえば、ベリアルはどうした?」
アルテマが手甲爪をグーパーしながら聴いた
「知らんな」
ガノンは海の石を投げていた
鬼とは昔から居た戦闘所属で、魔界の中心部隊だった。拠点地は『アルバスク』という魔界の田舎町だった
現在の構成は7人である
隊長のアルテマ・ジュルピス
副隊長のバソウ・シーゲンス
司令官のガノン・クライヴ
伝令官のソウバス・ミーケ
切込隊長のリナイト・フレン
整備士のドミス・マスタル
総管理官のベリアル・ブーストルダン
という感じであった
鬼は、鬼対専用部隊『蟹粥』と敵対していた。その隊長が死魔王だった。
死魔王は魔王と友好関係を結んでいたため二魔王同盟という。魔王ナイトメアはこの同盟を今も結んでいる。
それは死魔王も同じことである
『蟹粥』のメンバーは少ないがとても戦力には長けていた
隊長・死魔王
副隊長・魔王
遠距離隊長・フランベルク
自由戦士(特別につくられた)・マルコスタン
特に、死魔王のお気に入りはマルコスタンだったらしい
「ねえ、いつ私を殺してくれるの?」
ガンッ!
『ぐあっ!』
キスタとブラッドが同時に吹っ飛ばされる
「なんつうパワー・・・・それに、様子が変わったぞ?」
ブラッドの表情が困惑の色に変わった
「人格交代、あいつ『センナ』の能力のようなものだ」
「ようするに人格が変わって強くなったってことか」
「あの人格は『コトミ』、凶暴性が高くて暴走に近い
近づけるな、常に距離をとれ、捕まったら終わりだ」
「りょうかい」
「ねえ、早く私を殺してよ」
幼い少女の声、さっきまでの男の声とはまるで違っていた
その瞬間、男の姿が消える
「な!」
「落ち着け、『コトミ』の能力だ
あの人格のときは光を透過して透明になることができる」
「ちょっと待て!それってまさか人格ごとに能力があるってことか!?」
「話が早くて助かる、ひとつひとつの能力はレベルが低いものだが油断はできない、俺も全てを把握しているわけじゃないからな」
ザッ
足音が聞こえ、咄嗟に二人はその場から離れる
ドゴッ!
地面が深く抉れた
おそらく(コトミ)の攻撃によるものだ
「手早く倒した方が早そうだな」
ブラッドは大きな翼の生えた翼竜を召喚した
「リゼカース!行け!」
キスタはそいつがいると思われる場所に剣を投げた
カンッ
透明な手に弾かれたらしい
「場所はわかった、やれリゼカース!」
『グオオオオオ!!』
翼竜が翼から大量の棘を出現させ、それを放った
その瞬間男の姿が現れた
「そんなチンケな攻撃、俺にはきかねえ!」
「!!」
男の体が鎧に包まれる
キンッ、キン、キンッ!
鎧が棘を全て防いだ
「チッ、今度は『ゴルデック』か」
「能力は?」
「狭範囲の空間凝結、今の鎧もそれに含まれる」
「よし、ならリゼカースで対応できる」
キスタは地面に4本剣を刺し、そのうち2本を引き抜く
「せめて4本・・・・」
「リゼカース!行け」
リゼカースは棘を次々と出したがゴルッテクには効かなかった
「な!おいおい反則だってあの能力」
「しかし、最強という訳ではない」
キスタは四本の剣を同時に投げた、ゴルテックは咄嗟に横に逃げた
「!今だ!仕留めろ」
リゼカースは棘を10本出した
「甘いわ!」
ゴルテックは地面に自分の拳を叩き付けた
地面は割れて巨大な土の壁が現れた
「ッチ、リゼカースは駄目か・・・なら仕方ねぇ」
「お前、あれを出すのか!」
「あぁ、出て来い!ヴァルゲノン」
召還された人形は馬に乗っていた、黒い武装された馬にまたがっているのは両手に巨大な槍を装備していた。
鎧と兜は真っ黒で赤マントを翻していた
「ヴァルゲノン、頼むぞ!」
馬が大きく叫び、後ろ足で立った
そして前足を地面に叩き落して、強烈な気を出していた
「ケルシト!てめぇもだ!」
ブラッドはケルシトまで召還した
「コイツは俺の相棒だからな、忘れちゃいけねぇ」
ヴァルゲノンは兜から赤い眼だけを出していた
〔死ぬのが恐いか?小僧〕
「あ?誰に聞いている」
ゴルテックは拳を鳴らした
〔ふん、よほど腐ってるようだな〕
「だから誰に聞いてる?馬上から失礼な奴だな」
〔ヴァルゲノンさん、先ずは礼儀ですよ〕
ケルシトはゴルテックにフカブカとお辞儀をした
(馬鹿め!)
ゴルテックはいきなりケルシトに殴りかかった
「ケルシト!避けろ」
ケルシトは顔は骸骨だったが笑っていた、ニヤッと笑って瞬歩で敵の拳を避けた
「なかなかの反応だな、だが次は!」
「俺を忘れるなよ!センナ」
キスタが四本の剣をゴルテック目掛けて撃った
「無駄だ!貴様らの攻撃は効かん!」
〔黙れ!小僧〕
ヴァルゲノンが後ろからゴルテックを貫いた
「フン、まだだ」
男は元の姿に戻った、そしてマタ形を変えた
ブラッドのネクマンシーは7体
一体目は魔界の貴族騎士ケルシト、ブラッドの相棒である
二体目は天狗デシヌイン、両目共、鬼のアルテマによって斬られた為、光を失った
三体目は鳥人ガースカイ、主に運搬専用に使われる顔は鳥、体は人間である、ペルーを払わないとスネる
四体目は飛龍リゼカース、棘を出して攻撃する、全体的に体は緑、葉緑体が有る為植物と同じ環境でもある
五体目は魔獣ヘルバウスン、四本足で体には赤い斑点がある、牙が長い
六体目は魔龍ヴケルイス、黒い体で青い羽が特徴、早い攻撃が得意で、魔界で最も恐れられた竜
七体目は騎士ヴァルゲイン、魔界の最強戦士、馬にまたがり素早く仕留める事から『早殺』の異名を取る
「っさて、これからどうする?」
「そうだねぇ、気楽にやるか」
「フン、賛成だ」
アルテマは海の家に立ち寄った
「いらっしゃい」
店長はねじり鉢巻のおとこだった
「焼きそばを一つ」
「ヘイ」
アルテマは椅子に座り肘を付いて窓の向こうを見ていた
「お待ち」
店長の威勢の良い声が響いた
「あぁ、そこに置いといてくれ」
店長は机に焼きそばを置くとまた調理台へ戻っていった
「おい」
アルテマが店長を呼んだ
「はい何でしょう?」
「この海はいつも誰もいないのか?」
「へい、昔は家族連れやカップル等が多い有名なスポットだったんですが、機械が多くなったせいで見た目だけ良く中身は汚い海なんですよ」
「そうか、スマナイ」
アルテマは軽く笑って言った
「ほんまにどうするかいのぉ・・アルテマが隊長やから決めるのはアヤツやけんど」
「それより此処はどこかって事ですよ」
バソウはあたりを見回した
「木々に囲まれた普通の海ですね」
「なんでこんなとこに来たんじゃろか?」
「さぁ」
記憶の無くしたアルテマ達が暢気に焼きソバをすすっていると、一人の少年が降り立った。
その少年は髪も着ている服も真っ白で、表情すら無い。
そして頬に『11』と書いてあった。
「あれ?君は確か何処かでーーゲブッ!!」
少年を見てアルテマが何かを言おうとした瞬間、アルテマは少年の攻撃でふっ飛ばされた。それでも少年は表情を出さない。
少年はアルテミスの後、新たに生まれたパズルピースの1体だった。
「彼らを始末する気ですか?No2さん」
キスタ&ブラッドvs千名。そして鬼達と対決する11の映像を見て白いローブの女がつぶやく。
アルテミスはNo2の横で自分に似た11をまじまじと見ていた。
『ええ、忘却の海ならパズルピースは関係ありませんし、あちら側についた時点でアルテマ達は敵ですから』
「良いでしょう。では次に、勝手に人形をキスタの元に行かせましたね?カーリー」
白いローブの女が側にいたカーリーに聞く。カーリーは仮面を取った。もちろん正体は千名である。
今キスタが闘っているのは人形の方だったのだ。
「申し訳ありません、このままキスタを死なせたくは無かったので」
「まぁ、良いでしょう。この闘いの結末を見届けるとしましょうか」
そう言うと白いローブの女は2つの闘いに目を向けた。
「見つけました・・・・」
「あら?予定より早かったわね、あと27秒後に来る予定だったのに」
白いローブの女がゆっくりと後ろを向く
「誰ですか?」
千名が女に尋ねる
「風幻龍リプティフランカと雷幻龍ガロンザックスですよ」
「・・・・少し驚きました」
「一応聞いておきましょう、何故こんなに早く到着したんですか?」
「答えがわかっている質問をして楽しいか?」
ガロンが殺気を振りまきながら聞いた
「特別に答えてあげる、この子のおかげよ」
リプティがそう言うと後ろから小さな影が歩いてきた
黒い服にフードで顔を隠した少女
「ん?だれだ?」
千名が尋ねる
「久しぶりです・・・いえ、初めましてと言った方がいいですか?マスター」
「マスター・・・・ああ、お前も人形か、名前は?」
少女はフードをとった
「ロディアです」
名乗った後、ロディアは辺りに大量の鎖を出現させる
「その体、『エナティ』の体を奪ったんですね、結局人形遣いが最終的に考えることなんてそれですよね、綺麗で強い体」
「ええ、やっぱり私は男より女である方が良いみたい
時々いるらしいわ、男に生まれながら女として生きるように運命を背負わされた者が」
「興味ありません」
「なら何にあるの?」
「まずその体を『エナティ』に返してください」
「嫌よ」
キンッ!
ロディアが一瞬で間合いを詰めて攻撃するが、その攻撃は簡単に防がれた
「主人に逆らうとは、ダメな人形ね」
「あなたの人形が特別なのはあなたの方が知っているでしょう?」
「そういえば本当に記憶にないんだけど、あなたみたいな人格はあったかしら?」
「思い出さなくていいです、ここであなたを殺します!」
ガシッ!
一瞬で千名を鎖で雁字搦めにした
「私達はあなたに逆らうことができる、私達は血も流す、あなたがいなければ完全に『人』になれる!」
ギリギリッ!
鎖が千名を強く締め付ける
「早く私を殺して・・・・」
「!!」
パシュッ
鎖が粉々に砕け散る
「馬鹿な・・・・『コトミ』はあの人形の中にいるはず・・・」
「ねえ『メルルナ』ちゃん?早く私を殺して・・・・辛い時は私を殺してくれるっていったよね・・・」
「メルルナ・・・・・」
その名前を聞いてロディアは拳を握り締める
「私はメルルナじゃない・・・・私の名前はロディア・・・・」
「早く・・・・殺して・・・・、じゃないと私」
ドスッ!
千名の拳がロディアの腹部にめり込む
「メルルナちゃんまで殺しちゃう・・・・」
千名は涙を流していた、泣いているのはコトミだが体は千名
その光景は不可思議なものだった
「ずっとあなたが嫌いだった・・・」
「!!」
千名の声が急に冷たく変わった
咄嗟にロディアはそこから離れた
「『ジュエンタ』・・・・、あなたも残ってたんだ」
「メルルナ!久しぶりに会えて嬉しいよ!だって」
千名の爪が鋭く伸びる
「ずっとあんたを殺したかったから!!」
その爪でロディアに襲い掛かった
パシッ
その爪をかわして、腕を抑える
「私もあなたは嫌いです」
ゴキッ!
そのままその腕をへし折った
流れるような動きでそのまま千名を蹴り飛ばす
「痛い・・・・痛いよメルルナ・・・・」
立ち上がった千名の様子は明らかに変だった
「この痛み・・・・あんたにもあげるよ」
千名は手をロディアに向けた
(しまった!)
「クロスペイン!」
トスッ
ロディアの胸部に矢が突き刺さる
ビキッ!
「ぐあ・・・・」
ロディアは急に右腕を抑える
「忘れてた・・・・あなたの能力・・・・
自分の受けた痛みを相手にも与える力・・・・」
「でもあんたには痛みしか行かない、治ったという情報はその矢の中には入らないから、痛みをあんたの体にだけ残せる」
千名は折れた右腕を軽く撫でると、あっという間に普通に動くようになった
「メルルナさん、私の事は覚えていますか?」
「治癒師『カーナ』・・・・」
「正解です、ではもう一度ジュエンタさんに変わります」
千名の爪が再び伸びる
「さあ、どんどん痛みをあたしに与えてみなよ!」
「11?ナンバーズかいのぉ?」
「さぁねケド、ウザイね」
「おうよ解らすか?」
「フン」
鬼は全員笑っていた
「そうだベリアルは?」
バソウが突然聴いた
「さぁ、来たないな」
ソウバスは答えた
「それより目の前のコイツをなんとかしようぜ」
「だな、俺達に喧嘩、売らない方が身のためだったな」
6人は瞬時に消えた、11はあたりを見回す事無く黙ってじっとしていた
「余裕かぃ?」
ソウバスが首を切り裂いた
11は咄嗟に振り向く、しかしソウバスはいなかった
「こっちだ馬鹿かテメェ?」
ガノンが11の頭を握り締め、上に持ち上げた
「ヴォルケーノ」
キセルから炎が腕に伝わり11の顔は火傷だらけになった
「ラスト」
リナイトが心臓部分を貫いた
11は血みどろになってゆっくり倒れていく
その横には黒いフードを深くかぶった男が黒い太刀を持っていた
「ベリアル!」
バソウが驚いた表情をした
「ふう、全く、ナイトメアの野郎に殺されたからな、まぁミカエルさんに蘇生してもらったが」
「やっと揃ったかっでコイツどうする?」
「解らす」
「ドミス、頼む」
「ヘイヘイ、分かったわいな」
ドミスはパンっと手を鳴らして小さな兵隊を出した
「よし、解体作業開始じゃぁ」
兵隊達は11の骨、肉全てを削ぎとって跡形も無くしてしまった
「俺らに喧嘩売っといてコンナもんか・・」
「全くだな」
「しかしぃ、どうせ人形とかなんかなんじゃなのか?」
「ありえるのぉ、まぁナンバーズもそこまで暇じゃないんじゃろ」
「オイオイ・・まだ人形か分かんないだろ」
11の肉と骨は海に沈められた
「はじめはイキナリ攻撃されて驚いたが、それほど強くなかったな」
「けど焼きそば吐いたのはカッコ悪いぜよ」
「黙れ」
鬼達は11と戦った後、記憶が戻ったようだった
鬼達は海を後にした
『11が遣られたか・・無様だな』
男の額には13と書かれていた、顔は火傷の跡が半分に付いており目は鋭い眼光だった
『さて・・2にでも報告するかな、面倒ごとは御免だからな』
『あれ、サガルド早かったわね』
『あぁ、面倒だから早く来た』
「彼は?」
フードの女が言った
『彼は№13、新しくナンバーズに入る事になったの』
『仮だがな』
「なるほど、しかし宜しいのですか?勝手に増やして」
『いいのよ、増えて困ることは無いから』
『2・・いや姉貴、俺はどうしたらいい?』
「姉貴?」
『サガルドは私の弟よ』
「初耳ですね、弟がいたなんて」
別室でセンナとロディアは戦闘を繰り広げていた
『騒がしいな、姉貴なんだ何かあったのか?』
『ん?、面白い見ものだよ見ておいで』
『いや、面倒だからいい・・それに嫌いな奴がいるから』
『アハ、あなた昔からセンナとは仲が悪いね、犬猿の仲?』
「喧嘩する程、仲が良いのでは?」
『いや、違うと思う』
ーー鬼達が去った後の忘却の海。そこに変わった男が立っていた。
ガスマスクの様な仮面を付けた男である。男は妙な呼吸音を出しながら、忘却の海を眺めていた。
『能力を使ったのは3人か・・・まぁまぁだな』
その声はNo6、タインだった。タインは何やらノートの様な物を書き終えると海に向かって手をかざした。
『戻っておいで・・11』
タインがペットでも呼ぶ様な口調で言うと海に異変が起きた。
静かだった海に突如大渦が現れたのだ。
ーーザバァン!!
海が割れた!と思った瞬間、出てきたのは先程バラバラにされた11だった。
先程の重傷が嘘の様である。11は無表情のまま、タインの前に降り立った。
『鬼達の技、覚えたか?』
ーーコクン。
何も言わず11が頷く。
『よしよし、良い仔だ!鬼共の技を全て食って、お前も早くアルテミスの様に強くなろうな?』
ーーコクン。
また何も言わず11は頷いた。
「さて、帰るか」
「魔界に?」
バソウがアルテマに尋ねた
「あぁ、飛空挺も直ったようだしな、こんな臭い所にいるのはもうウンザリだ」
「だな、じゃ早く戻ろうぜ」
『待て!』
そこにはタインが居た
「あぁ?なんだテメェ、ジェイソン気取りか?」
ガノンが睨みつけた
『先程は11が世話になったな、それといってはなんだが恩返しだ』
11がガノンの頭を握り締め上に上げた、ヴォルケーノの形である、ガノンは驚いた表情だった
『死ね!鬼共』
11はヴォルケーノを撃った、しかしガノンは笑っていた
「まさか、テメェ俺らが自分の技で死ぬとでも?そこまで馬鹿じゃねぇよ」
『!?』
「大体、コピー仕切れてねぇよ、ヴォルケーノはキセルの炎と体内の異常な鬼力『ヘルフレイ』によって起きる特異現象
今の貴様はキセルも現象も起こってないただの炎だそんなんじゃぁ並みの人間は殺せても、俺達は無理だ」
ガノンは11の頭を取り上に上げた
「喰らえ!グルバストルンド」
ガノンの手が真っ赤だった
何かが潰れる音がした、11の顔にガノンの真っ赤な腕が突き刺さった
その瞬間11の体が砂のようになって消えていく
11を破壊し、ガノンは今度はタインに目を向ける
「あ~あ・・・・核石が壊れちまった、作るの面倒くせえんだぞ、材料もうねえしよ」
キイイイイィィィィィ!!
突然、不協和音を起こす風がタインの周りに逆巻く
「ああ、うぜえ・・・・ホンットにうぜえ」
ギイイイイイイィィィィィィ!!
不協和音の音量が上がる
『ぐ・・・!』
その場にいたものは皆両手で耳を塞いだ
「なんつー、殺人音だよ!」
「もういいや・・・・そろそろ『優しいタイン君』は終わりだ・・・・」
そう言って、タインが手に長剣を出した
その剣は先が丸く、そこには刃がついていなかった
「俺の名前はネイヴェン、『処刑人』ネイヴェンだ!」
「言い残す言葉は?」
一人の少年が椅子に座った綺麗な顔立ちの男に剣を向けていた
「ありますが、それを聞いていられるほどあなたに時間がありますか?」
「無いな・・・」
少年は剣を振り上げ
ザシュッ
男の首をはねた
「大天使ミカエル、あなたほどの人がなぜ反魂禁呪などを・・・」
「グワッ!!」
千名の攻撃を受けてキスタがふっ飛ぶ。その肌の色は褐色で、すでに『契約』を果たしているのは分かるが、その力を使っても千名に攻撃を加える事が出来ない。
ブラッドのヴァルゲインも鎧の所々にヒビが入り、さすがに疲労している様に見える。それ程の千名の人格達は圧倒的なのだ。
『もういい加減諦めたら?私達にも勝てないアンタが人間を守るなんて無理x2』
コトミの人格で、千名が喋る。
(くそ・・刀が後2本、いや後1本でもあれば!!)
キスタが歯を食いしばった瞬間、彼の目の前に突然魔法陣が現れた。それは前にエレノアがアリカの修行中に作っていた物である。
魔法陣は一つの光を生み出し、その光が形を作り出すと光はーー1本の短険になった。
「これは・・・」
「転送陣?しかも持ち主が本当にその険を必要としなければ現れない様、ロックをかける程の高等魔術だと?」
驚いたブラッドが口を開く。キスタも始めはただポカンと見ていたが、それが自分のだと分かると力強く短険を手にした。
(キスタ・・・ボクも力を貸すよ)
(クシー?クシーか!?お前が何故・・・っ!?)
頭の中に流れ込んで来た神の使いの意志にキスタが驚いていると、体の中に新たな力が流れ込んで来る。
それは愚者を裁く力・・・第三の力、(青の力)だった。
(始まりは白、終わりは黒、白は命は生み、黒は終演を呼ぶ。終演来たる前、青は愚者を裁き、世界を調和へと誘う。調和の象徴青よ・・・今、生と死の間で新たな世界を作らん!!)「おおおおおおおおっ!!」
声と共にキスタの力が膨れ上がる。3人のいる地域一帯を青き雷が包んだ。
・・・・・
雷が巻き上げた砂煙によって辺り一体が見えなくなり、30秒が経過しようやく視界が晴れてきた
「ちきしょう・・・コトミの奴・・・・攻撃来るって判ってたからわざと俺と変わるのを拒みやがったな・・・・」
男の声、おそらくゴルデックだろう
そのセリフから推測するに、コトミと変わるのが遅かったため防御が遅れ、少しダメージを受けたようだ
砂煙が完全に晴れ、センナが姿を見せる
「カーナ!体を治せ!」
センナはそう怒鳴った
「まったく、行ったり来たり面倒くさいなぁ・・・・」
女の声、さっきロディアと戦っている本体の方で発せられた声と同じ
「みんなして人使い荒いなぁ・・・」
自分の体の焦げた部分を撫でていくとあっという間に治っていく
「で、誰と変わるの?・・・・うん、わかった」
今度はセンナの手に鞭が現れ、それを軽く振る
「やはり表は良い、自由に体を動かせるのもなんとも言えず快感だ」
男の声、ゴルデックとは違う繊細な感じがする声
「初めまして、我が主の敵よ・・・・私の名前は『フォルテ』、よく記憶しておけ・・・お前を倒す者の名だ!!」
フォルテが鞭を振ると、鞭が蛇のようにキスタに襲い掛かる
できる・・・・・確証は無いが・・・・
いや・・・違う・・・
確証があるからできるんじゃなくて
例え無くてもあると思うからできる!!
キンッ!
キスタが鞭を弾いた
センナは鞭が弾かれたこと自体には驚かなかった
「なっ!」
しかし、キスタの様子を見て驚いた
キスタが両手で持つ2本の剣
それとあわせて、浮んでいる剣が左右2本ずつ計4本
両手の剣と合わせて6本
その6本の剣が、広げられた天使の翼のような錯覚を起こさせる
「馬鹿な・・・・」
センナ本人の声、その声で確かに言った
「『六刃』は使えないはずだ!!」
「ああ、さっきまではな!」
宙に浮ぶ4本の剣が一斉にセンナに襲い掛かる
「ゴルデック!」
そう言うと一瞬でゴルデックに変わり、盾で剣を防いだ
しかし、剣は弾かれても方向を変えまたすぐに攻撃してくる
「キスタばっか良いカッコしちゃってさぁ」
ブラッドはヴァルゲノンを操っていた
「さぁ、クライマックスだ!ヴァル!頼むぞ」
〔了解・・六刃殿、頼みますぞ〕
「あぁ、任せろ」
ヴァルゲノンはさっきよりも早く素早くセンナに突撃して行った
「馬鹿めが!」
ゴルテックは盾でヴァルゲノンの槍を防いだ
〔青二才が!調子に乗るな!ケルシト〕
〔はいはい・・遣りますよ〕
ケルシトがレイピアで斬り刻む
しかしゴルテックには皆無だった
〔はなから私達だけではやろうと思ってはいませんよ〕
「任せろ!」
キスタがゴルテックの後ろに移動し、6つの剣で突き刺した
「ッチ!」
「そんな剣で俺の鎧は砕けねぇぞ?」
「分かっているさ。だが俺も先程とは違う!!」
「!?」
キスタが体内で魔力を高めると、刺さった6本の剣が青く光り始め放電する。その雷は全てゴルテックの鎧に流れ込んだ。
「ーーインドラ・アロー」
『ギャアアアアアアッ!?』
全ての剣の雷が流れ込んだ瞬間、ゴルテックの鎧が吹き飛ぶ。
それは千名の、ミコトの、ゴルテックの、そして全ての人格達の断末魔の悲鳴だった。
ーードサッ。
黒焦げになり、千名が倒れる。しかし息はまだある様だ。
「グ・・カーリー・・治療を」
「させると思ったか?」
ーーグシャ!!
虫の息の千名にトドメを指す様に、ヴァルゲノンが空中でジャンプして大刀で体を真っ二つにする。
「く・・・キスタ・・逃げろ。お前では(あの方)には勝て・・」
最後に己の指名を果たし、人形は粉々に崩れた。
ピクッ
センナが急に何かを感じ取ったようにあさっての方向を向いた
「人形が壊れましたか、まあいいです」
ハァ・・・・ハァ・・・・
ロディアの表情は疲労の色で満ちていた
「痛みだけと言うのも結構な精神的疲労になるでしょう?」
「この程度の痛み・・・・耐えられる・・・・」
そうは言ってもロディアから苦痛の表情は消えない
「嘘おっしゃい、蓄積された痛みはそう簡単に耐えられるものではありませんよ?」
「関係無い・・・・『耐える』と言ったら『耐える』、ただそれだけ・・・・」
弱々しい声、今にも崩れ落ちそうだった
「ジュエンタ、とどめを指しなさい」
センナがそう命じた
「その言葉を待ってた♪」
爪が伸びる、人格がジュエンタに変わったときの特徴
その爪でロディアに襲い掛かる
「全封印・・・・解印!」
そのとき、ロディアが両腕にしていた全ての腕輪が光となって弾け飛んだ
ザクッ!
「チッ!」
ジュエンタが悔しそうに舌打ちをした
彼女の爪はロディアの手のひらに刺さっていた
そして・・・・
ロディアの姿はカンジュやアシュノのそれと同じだった
センナの無数にある人格の中で、エナティは彼にとって特別な存在だった
メルルナは暇していた
彼女はどうやって暇を潰そうか考えていた
ここはセンナの精神世界、つまりは頭の中とも言い替えることもできる
そんな中ではメルルナは一つの人格でしか過ぎず、また彼女もそれを理解していた
この世界の中では人格達は形を持たないため、魂を抽象化した姿である球体の姿をしていた
ここは何も無いけど街と同じ
人がたくさんいるから
センナ本人も、またそこに住む全ての人格たちも、ここに住む人格達全員を覚えてはいない
私達は所詮記憶で構成された擬似生命でしかない
だから忘れられれば・・・・
―――消える
彼が現実逃避のために人格を作り始めたのが11のとき。
もう彼は19だから、最初の段階で作られた私は既に8年ここにいることになる
はっきり言って暇すぎる、他の人格と話をすることもできるけど、話のネタが無いに等しいのですぐに飽きる
ここにあるものは2つだけ
大きな壁と、小さな小屋
壁は人格を2つに分ける文字通り『壁』、壁の向こうには危険な人格が満載だとか
小屋は基本的に立入禁止、なかにはセンナとエナティがいる
センナはエナティにしか心を開いていなかった
当然と言えば当然、唯一自分が心を開ける相手として作り上げたんだから
でも別にセンナはエナティを愛しているとかそういう風ではなかった
そのときには気付いていなかったけど、既にその時点でセンナのエナティに対する感情は異状のものだった
今も言ったように愛していたわけじゃない
ずっと一緒にいたかった、その想いを究極の方法で実現させた
ガチャッ
小屋の扉が開いてエナティが出てきた
「あ、メルルナちゃん!」
くどいようだけどもう一度言おう
エナティは特別だった
それは姿を見ただけで解る
この球体生命だけの世界で、センナ以外でエナティは唯一人の姿をしていた
「エナティ、仕事は終わったの?」
「うん、簡単だった」
このとき既に『センナ』は創始者の使者になっていた
15のときにエルナ様がセンナを引き取ったから当たり前ではあるんだけど
でもセンナは仕事をしない、ほとんど他の人格達に仕事をさせていた
今から約1年前。罪の世界に迷い込んだ人間が力をつけ、5人目の『神』を名乗った時センナはこの計画を主から聞いた。
その頃にはキスタを始め、ロディア、アシュノ、カンジュといった様々な人形が彼の側にいたが、センナはここである事を思い付いた。
この計画で自分を死んだ事にして人形達を競わせ、残った一体を自分の新たな体にする。
そのために『断罪者』は願っても無いカモだった。
そして闘いが始まるとまずカンジュが、そしてアシュノが脱落した。
ロディアを忘れていたセンナは残ったキスタを体候補と決め、彼が強くなるのを待っていたのである。
「私達は・・・私達は貴方の操り人形じゃない!!」
ロディアの片目から涙がこぼれる。彼女は最後の技を使い、センナを道連れにしようとしているのだ。
「人形は人形だよ。それにお前は大事な事を忘れている。ーーここが敵の本拠地だと言う事を」
「えっ・・?」
ーードスッ!!
センナの言葉を聞いた瞬間、何者かの手がロディアの体を貫いた。彼女はセンナを倒す事に集中するあまり、周りを見ていなかったのだ。
貫かれた手の先から血が滴り落ちる。ロディアはその目で自分が致命傷だと言う事を認識した。
『だから言ったろ?覚えてろって?』
「ナン・・バー・・1」
手が引き抜かれ、ロディアが倒れる。
その顔を憎々しげにNo1が踏みつけた。
3つ巴の闘い。 キスタ・ブラッドOvsセンナ(人形)X ロディアXvsセンナ(本体)O
「なにしてるの?」
ゾクッ
心の底に響くような深く冷たい声
№1は思わずその方向を向いた
しかし、おそらく彼のその行動は間違っていただろう
トスッ
振り向いた№1と誰かがすれ違った
「勝手にメルルナちゃんを殺さないで」
№1は銅像のように静止して動かなくなった
赤い花が咲く
真紅の死の花
つまりは・・・・・血
バタンッ
№1はそのまま倒れた、それによって胸に刺さったナイフが更に深く刺さる
でも最早関係無いだろう
即死
彼は自分がどうなったかも理解せずに、ただの血袋と化した
『センナ』がロディアの胸に手を当てる
「死なせないよメルルナちゃん、絶対に死なせない・・・・」
見る見るうちに傷口が塞がり、ロディアの体に血の気が戻ってくる
「勝手に死ぬなんてこと、許さないんだから・・・・」
その女は笑った
センナではない、センナの姿をした誰か
いや・・・『何か』
「私の事、忘れちゃダメだよ・・・・」
―――メルルナちゃん♪―――
(それ)は満面の笑みを向けた
くどいようだがもう一度言おう
エナティは特別な存在だった、センナにとっても
私、メルルナにとっても
ある日私はこう言った、何気ない一言だった
「ねえ、何でエナティだけ自分の体を持ってるの?」
そこには嫉みなんて物は無く、ただ単純に疑問をぶつけただけだった
勿論、自分だけの体に対して憧れはあった
しかし、それはエナティの前では「ネタミ」と呼べるレベルにまで達していなかった
「欲しいの?」
「え?なにを?」
「この体」
「ううん、その体はエナティの体、欲しいと思っているのは『自分固有』の体だよ」
「ふ~ん」
エナティはは何かを納得するような反応を示したあと、こう切り出した
「じゃあ、メルルナちゃんの体も作ってあげる」
「え?」
当然私は驚いた、その驚きは何に対してなのか今思えばちょっとした疑問になる
「この体は私の能力で作ったものだから、メルルナちゃんの体も作ることは簡単にできると思う」
「そうなの?」
もっと言う事はあっただろうけど、その言葉しか出てこなかった
「じゃあいくよ」
「え?え!?いきなり!?」
「善は急げ♪」
エナティが胸に当てていた手をどけると、そこに白い棒状のものがあった
「なに?こ・・・」
「それ!」
その瞬間私の体が光に包まれた
その眩しさ故に私の目は自然に硬く閉じられ、そしてその目を開けると
「あ・・・・」
いつの間にか用意されていた鏡を見て、一番最初に出てきた感情は戸惑いだった
紛れも無くそこにいるのは自分で、既に球体ではなく、一人少女が鏡の中にいた
「どう?感想は?」
「・・・・・・」
その問いに対して何も答えられなかった
言葉が見つからなかった
「ありがとう」
やっとその一言が出た
バフッ
「キャッ!」
エナティにいきなり頭から何かをかぶせられた
「うん、似合う似合う」
白いローブ、少しサイズは小さめだったけど、そんな事は気にならなかった
「やっぱりその姿で裸はまずいからね♪」
そのエナティの明るい笑顔が輝いて見えた
その体が今の私の姿、カンジュやアシュノはこの体のコピーを使っていた
少女の姿はカムフラージュ、千名が生きていることを知られたくなかった
それと同時に名前を変えた
『ロディア』、どこかの言葉で『幸せの塔』と言う意味らしい、エルナ様につけてもらった
名前を変えたのはもう一つ意味があった
けじめ、と言うのが正しいだろうか?
それは、エナティを諦めるために
唯一の友達で、姉のような存在だったエナティを
さっき確信した
エナティはもういない
センナが体を奪った、それだけで判断材料に足る
それと同時に、『メルルナ』は完全に消えた
代わりに『ロディア』の存在が確定した
「ロディア」
キスタの声で目が覚める
白い部屋、血の跡が床に二つあるだけであとは何も無く、自分たち以外には誰もいない
「大丈夫か?」
心配そうにキスタが尋ねる
「平気です」
ロディアは胸に手を当て、心臓が動いていることを確認する
そこにある血の跡の場所には、肝心の傷が欠片も無かった
「・・・・・」
ロディアがあることに気が付いて、自分の体を確認してみた
そして、少女の姿であることを確認しホッと溜息をついた
「何で生きているか、だと?」
目の前の男は怒りを含んだ声がでそう言った
「私を殺したお前がよくそんなことを言えるものだ」
「自業自得だろう、お前が魔元石に手を出したからだ」
千名と呼ばれたその男は剣を構えた
「そういえばお前は名前を変えたのか、そんな格好までして別人に化けたいようだな?」
「関係無い、今の俺は『キスタ』だ、それ以上でもそれ以下でもない」
「・・・・・・姿は変わっても、その性格は変わらないなぁ」
キンッ!
剣が重なる音がする
「もうお前は必要無い、カンジュやアシュノが立派に働いてくれたよ」
キキン!
「ああ、あの出来損ないの人形達か?まだ残っているのか?」
キンッ!キンッ!
段々とスピードが上がっていく
「答える必要は無いだろ」
ギキキキキキンッ!
「その答えは『はい』と言っているようなものだ」
キンッ!
剣を合わせたままお互いの顔を見る
「ああいるよ、あいつはもうお前より断然強い!」
キンッ!
キスタが男の剣を弾く
「終わりにしようか、センナ」
カルテ№13728
名前:センナ・ハルイット・ラウ(12)
性別:男
病名:解離性同一性障害
11月19日
記載者:トール・ハーコ
一般的に多重人格と言われている病気
魔法、条法、錬法、回帰法などを試しても一行に治る気配は無く、周囲の状況によって治るケースがあるらしいが、彼のそれはこの特殊な病気の中で更に特殊だった
まず人格の数が異状で、その数は確認しただけでも約200
おそらくこれでもまだ半分程度だろう
なにせ、彼は一つ物事がある度に新たな人格を作り上げる
今日新たに現れたコトミという少女の人格は長年こういう経験をしてきた私ですら恐怖を感じた
なにせフォーク一本で壁を粉々に破壊してしまった
その人格はしきりに『私を殺せ』と言っていた
緊急手段として動物捕獲用の麻酔弾を使用した
「強くなったじゃないか、セ――」
ドスッ!
「ぐっ・・・」
「その名で俺を呼ぶな」
キスタは剣に付いた血を拭い、再びセンナに剣を向ける
「吐け、お前の知る情報を洗いざらいにだ」
その言葉にセンナはニヤッと笑った
「一緒に遊ぼう、コトミ」
『なんだか、俺のけもので派手にやってくれてるなぁ』
「今は黙っててくれないか?ブラッド」
キスタは剣を構えたままブラッドの方を見向きもしないで言った
『・・・先に帰っていいか?』
「駄目だな」
千名はブラッドに言った
「何故だ!コイツは関係ない!」
「いや、その者も来てもらう、そいつは珍しい能力を持っているからな」
『やれやれ・・じゃぁ俺は見学でもしとくよ』
ブラッドは崖に腰を掛けた、その瞬間だった、千名は剣をブラッドの喉元に突き立てた
『おいおい・・なんだよ』
「油断するな、死ぬぞ」
千名はブラッドを見下した
「あれ?此処違うんじゃねぇの?」
リナイトがそう言った
「おかしいなぁ、地図では此処だけどね」
バソウが返事した、三人が来たのは海岸だった。目の前に海が広がり、海の家が建っていた
「だまされたね」
ソウバスは笑いながら言った
暫くするとアルテマ・ドミス・ガノンまでやって来た
「あぁ?なんでお前らがコンナとこにいる?」
アルテマが聴いた
「まさか、おんしゃんらも全員だまされちょったけん?」
「ッチ、最悪だ」
6人は口々にため息を付いた、しかしナンバーズ件は誰も言わなかった
「そういえば何で鬼のメンバーが此処に集まってるの?」
「そういえばそうじゃなぁ・・なんででじゃろか?」
皆記憶を失ってしまったのである。覚えていることは自分が鬼・名前・鬼のメンバーぐらいであった
「そういえば、ベリアルはどうした?」
アルテマが手甲爪をグーパーしながら聴いた
「知らんな」
ガノンは海の石を投げていた
鬼とは昔から居た戦闘所属で、魔界の中心部隊だった。拠点地は『アルバスク』という魔界の田舎町だった
現在の構成は7人である
隊長のアルテマ・ジュルピス
副隊長のバソウ・シーゲンス
司令官のガノン・クライヴ
伝令官のソウバス・ミーケ
切込隊長のリナイト・フレン
整備士のドミス・マスタル
総管理官のベリアル・ブーストルダン
という感じであった
鬼は、鬼対専用部隊『蟹粥』と敵対していた。その隊長が死魔王だった。
死魔王は魔王と友好関係を結んでいたため二魔王同盟という。魔王ナイトメアはこの同盟を今も結んでいる。
それは死魔王も同じことである
『蟹粥』のメンバーは少ないがとても戦力には長けていた
隊長・死魔王
副隊長・魔王
遠距離隊長・フランベルク
自由戦士(特別につくられた)・マルコスタン
特に、死魔王のお気に入りはマルコスタンだったらしい
「ねえ、いつ私を殺してくれるの?」
ガンッ!
『ぐあっ!』
キスタとブラッドが同時に吹っ飛ばされる
「なんつうパワー・・・・それに、様子が変わったぞ?」
ブラッドの表情が困惑の色に変わった
「人格交代、あいつ『センナ』の能力のようなものだ」
「ようするに人格が変わって強くなったってことか」
「あの人格は『コトミ』、凶暴性が高くて暴走に近い
近づけるな、常に距離をとれ、捕まったら終わりだ」
「りょうかい」
「ねえ、早く私を殺してよ」
幼い少女の声、さっきまでの男の声とはまるで違っていた
その瞬間、男の姿が消える
「な!」
「落ち着け、『コトミ』の能力だ
あの人格のときは光を透過して透明になることができる」
「ちょっと待て!それってまさか人格ごとに能力があるってことか!?」
「話が早くて助かる、ひとつひとつの能力はレベルが低いものだが油断はできない、俺も全てを把握しているわけじゃないからな」
ザッ
足音が聞こえ、咄嗟に二人はその場から離れる
ドゴッ!
地面が深く抉れた
おそらく(コトミ)の攻撃によるものだ
「手早く倒した方が早そうだな」
ブラッドは大きな翼の生えた翼竜を召喚した
「リゼカース!行け!」
キスタはそいつがいると思われる場所に剣を投げた
カンッ
透明な手に弾かれたらしい
「場所はわかった、やれリゼカース!」
『グオオオオオ!!』
翼竜が翼から大量の棘を出現させ、それを放った
その瞬間男の姿が現れた
「そんなチンケな攻撃、俺にはきかねえ!」
「!!」
男の体が鎧に包まれる
キンッ、キン、キンッ!
鎧が棘を全て防いだ
「チッ、今度は『ゴルデック』か」
「能力は?」
「狭範囲の空間凝結、今の鎧もそれに含まれる」
「よし、ならリゼカースで対応できる」
キスタは地面に4本剣を刺し、そのうち2本を引き抜く
「せめて4本・・・・」
「リゼカース!行け」
リゼカースは棘を次々と出したがゴルッテクには効かなかった
「な!おいおい反則だってあの能力」
「しかし、最強という訳ではない」
キスタは四本の剣を同時に投げた、ゴルテックは咄嗟に横に逃げた
「!今だ!仕留めろ」
リゼカースは棘を10本出した
「甘いわ!」
ゴルテックは地面に自分の拳を叩き付けた
地面は割れて巨大な土の壁が現れた
「ッチ、リゼカースは駄目か・・・なら仕方ねぇ」
「お前、あれを出すのか!」
「あぁ、出て来い!ヴァルゲノン」
召還された人形は馬に乗っていた、黒い武装された馬にまたがっているのは両手に巨大な槍を装備していた。
鎧と兜は真っ黒で赤マントを翻していた
「ヴァルゲノン、頼むぞ!」
馬が大きく叫び、後ろ足で立った
そして前足を地面に叩き落して、強烈な気を出していた
「ケルシト!てめぇもだ!」
ブラッドはケルシトまで召還した
「コイツは俺の相棒だからな、忘れちゃいけねぇ」
ヴァルゲノンは兜から赤い眼だけを出していた
〔死ぬのが恐いか?小僧〕
「あ?誰に聞いている」
ゴルテックは拳を鳴らした
〔ふん、よほど腐ってるようだな〕
「だから誰に聞いてる?馬上から失礼な奴だな」
〔ヴァルゲノンさん、先ずは礼儀ですよ〕
ケルシトはゴルテックにフカブカとお辞儀をした
(馬鹿め!)
ゴルテックはいきなりケルシトに殴りかかった
「ケルシト!避けろ」
ケルシトは顔は骸骨だったが笑っていた、ニヤッと笑って瞬歩で敵の拳を避けた
「なかなかの反応だな、だが次は!」
「俺を忘れるなよ!センナ」
キスタが四本の剣をゴルテック目掛けて撃った
「無駄だ!貴様らの攻撃は効かん!」
〔黙れ!小僧〕
ヴァルゲノンが後ろからゴルテックを貫いた
「フン、まだだ」
男は元の姿に戻った、そしてマタ形を変えた
ブラッドのネクマンシーは7体
一体目は魔界の貴族騎士ケルシト、ブラッドの相棒である
二体目は天狗デシヌイン、両目共、鬼のアルテマによって斬られた為、光を失った
三体目は鳥人ガースカイ、主に運搬専用に使われる顔は鳥、体は人間である、ペルーを払わないとスネる
四体目は飛龍リゼカース、棘を出して攻撃する、全体的に体は緑、葉緑体が有る為植物と同じ環境でもある
五体目は魔獣ヘルバウスン、四本足で体には赤い斑点がある、牙が長い
六体目は魔龍ヴケルイス、黒い体で青い羽が特徴、早い攻撃が得意で、魔界で最も恐れられた竜
七体目は騎士ヴァルゲイン、魔界の最強戦士、馬にまたがり素早く仕留める事から『早殺』の異名を取る
「っさて、これからどうする?」
「そうだねぇ、気楽にやるか」
「フン、賛成だ」
アルテマは海の家に立ち寄った
「いらっしゃい」
店長はねじり鉢巻のおとこだった
「焼きそばを一つ」
「ヘイ」
アルテマは椅子に座り肘を付いて窓の向こうを見ていた
「お待ち」
店長の威勢の良い声が響いた
「あぁ、そこに置いといてくれ」
店長は机に焼きそばを置くとまた調理台へ戻っていった
「おい」
アルテマが店長を呼んだ
「はい何でしょう?」
「この海はいつも誰もいないのか?」
「へい、昔は家族連れやカップル等が多い有名なスポットだったんですが、機械が多くなったせいで見た目だけ良く中身は汚い海なんですよ」
「そうか、スマナイ」
アルテマは軽く笑って言った
「ほんまにどうするかいのぉ・・アルテマが隊長やから決めるのはアヤツやけんど」
「それより此処はどこかって事ですよ」
バソウはあたりを見回した
「木々に囲まれた普通の海ですね」
「なんでこんなとこに来たんじゃろか?」
「さぁ」
記憶の無くしたアルテマ達が暢気に焼きソバをすすっていると、一人の少年が降り立った。
その少年は髪も着ている服も真っ白で、表情すら無い。
そして頬に『11』と書いてあった。
「あれ?君は確か何処かでーーゲブッ!!」
少年を見てアルテマが何かを言おうとした瞬間、アルテマは少年の攻撃でふっ飛ばされた。それでも少年は表情を出さない。
少年はアルテミスの後、新たに生まれたパズルピースの1体だった。
「彼らを始末する気ですか?No2さん」
キスタ&ブラッドvs千名。そして鬼達と対決する11の映像を見て白いローブの女がつぶやく。
アルテミスはNo2の横で自分に似た11をまじまじと見ていた。
『ええ、忘却の海ならパズルピースは関係ありませんし、あちら側についた時点でアルテマ達は敵ですから』
「良いでしょう。では次に、勝手に人形をキスタの元に行かせましたね?カーリー」
白いローブの女が側にいたカーリーに聞く。カーリーは仮面を取った。もちろん正体は千名である。
今キスタが闘っているのは人形の方だったのだ。
「申し訳ありません、このままキスタを死なせたくは無かったので」
「まぁ、良いでしょう。この闘いの結末を見届けるとしましょうか」
そう言うと白いローブの女は2つの闘いに目を向けた。
「見つけました・・・・」
「あら?予定より早かったわね、あと27秒後に来る予定だったのに」
白いローブの女がゆっくりと後ろを向く
「誰ですか?」
千名が女に尋ねる
「風幻龍リプティフランカと雷幻龍ガロンザックスですよ」
「・・・・少し驚きました」
「一応聞いておきましょう、何故こんなに早く到着したんですか?」
「答えがわかっている質問をして楽しいか?」
ガロンが殺気を振りまきながら聞いた
「特別に答えてあげる、この子のおかげよ」
リプティがそう言うと後ろから小さな影が歩いてきた
黒い服にフードで顔を隠した少女
「ん?だれだ?」
千名が尋ねる
「久しぶりです・・・いえ、初めましてと言った方がいいですか?マスター」
「マスター・・・・ああ、お前も人形か、名前は?」
少女はフードをとった
「ロディアです」
名乗った後、ロディアは辺りに大量の鎖を出現させる
「その体、『エナティ』の体を奪ったんですね、結局人形遣いが最終的に考えることなんてそれですよね、綺麗で強い体」
「ええ、やっぱり私は男より女である方が良いみたい
時々いるらしいわ、男に生まれながら女として生きるように運命を背負わされた者が」
「興味ありません」
「なら何にあるの?」
「まずその体を『エナティ』に返してください」
「嫌よ」
キンッ!
ロディアが一瞬で間合いを詰めて攻撃するが、その攻撃は簡単に防がれた
「主人に逆らうとは、ダメな人形ね」
「あなたの人形が特別なのはあなたの方が知っているでしょう?」
「そういえば本当に記憶にないんだけど、あなたみたいな人格はあったかしら?」
「思い出さなくていいです、ここであなたを殺します!」
ガシッ!
一瞬で千名を鎖で雁字搦めにした
「私達はあなたに逆らうことができる、私達は血も流す、あなたがいなければ完全に『人』になれる!」
ギリギリッ!
鎖が千名を強く締め付ける
「早く私を殺して・・・・」
「!!」
パシュッ
鎖が粉々に砕け散る
「馬鹿な・・・・『コトミ』はあの人形の中にいるはず・・・」
「ねえ『メルルナ』ちゃん?早く私を殺して・・・・辛い時は私を殺してくれるっていったよね・・・」
「メルルナ・・・・・」
その名前を聞いてロディアは拳を握り締める
「私はメルルナじゃない・・・・私の名前はロディア・・・・」
「早く・・・・殺して・・・・、じゃないと私」
ドスッ!
千名の拳がロディアの腹部にめり込む
「メルルナちゃんまで殺しちゃう・・・・」
千名は涙を流していた、泣いているのはコトミだが体は千名
その光景は不可思議なものだった
「ずっとあなたが嫌いだった・・・」
「!!」
千名の声が急に冷たく変わった
咄嗟にロディアはそこから離れた
「『ジュエンタ』・・・・、あなたも残ってたんだ」
「メルルナ!久しぶりに会えて嬉しいよ!だって」
千名の爪が鋭く伸びる
「ずっとあんたを殺したかったから!!」
その爪でロディアに襲い掛かった
パシッ
その爪をかわして、腕を抑える
「私もあなたは嫌いです」
ゴキッ!
そのままその腕をへし折った
流れるような動きでそのまま千名を蹴り飛ばす
「痛い・・・・痛いよメルルナ・・・・」
立ち上がった千名の様子は明らかに変だった
「この痛み・・・・あんたにもあげるよ」
千名は手をロディアに向けた
(しまった!)
「クロスペイン!」
トスッ
ロディアの胸部に矢が突き刺さる
ビキッ!
「ぐあ・・・・」
ロディアは急に右腕を抑える
「忘れてた・・・・あなたの能力・・・・
自分の受けた痛みを相手にも与える力・・・・」
「でもあんたには痛みしか行かない、治ったという情報はその矢の中には入らないから、痛みをあんたの体にだけ残せる」
千名は折れた右腕を軽く撫でると、あっという間に普通に動くようになった
「メルルナさん、私の事は覚えていますか?」
「治癒師『カーナ』・・・・」
「正解です、ではもう一度ジュエンタさんに変わります」
千名の爪が再び伸びる
「さあ、どんどん痛みをあたしに与えてみなよ!」
「11?ナンバーズかいのぉ?」
「さぁねケド、ウザイね」
「おうよ解らすか?」
「フン」
鬼は全員笑っていた
「そうだベリアルは?」
バソウが突然聴いた
「さぁ、来たないな」
ソウバスは答えた
「それより目の前のコイツをなんとかしようぜ」
「だな、俺達に喧嘩、売らない方が身のためだったな」
6人は瞬時に消えた、11はあたりを見回す事無く黙ってじっとしていた
「余裕かぃ?」
ソウバスが首を切り裂いた
11は咄嗟に振り向く、しかしソウバスはいなかった
「こっちだ馬鹿かテメェ?」
ガノンが11の頭を握り締め、上に持ち上げた
「ヴォルケーノ」
キセルから炎が腕に伝わり11の顔は火傷だらけになった
「ラスト」
リナイトが心臓部分を貫いた
11は血みどろになってゆっくり倒れていく
その横には黒いフードを深くかぶった男が黒い太刀を持っていた
「ベリアル!」
バソウが驚いた表情をした
「ふう、全く、ナイトメアの野郎に殺されたからな、まぁミカエルさんに蘇生してもらったが」
「やっと揃ったかっでコイツどうする?」
「解らす」
「ドミス、頼む」
「ヘイヘイ、分かったわいな」
ドミスはパンっと手を鳴らして小さな兵隊を出した
「よし、解体作業開始じゃぁ」
兵隊達は11の骨、肉全てを削ぎとって跡形も無くしてしまった
「俺らに喧嘩売っといてコンナもんか・・」
「全くだな」
「しかしぃ、どうせ人形とかなんかなんじゃなのか?」
「ありえるのぉ、まぁナンバーズもそこまで暇じゃないんじゃろ」
「オイオイ・・まだ人形か分かんないだろ」
11の肉と骨は海に沈められた
「はじめはイキナリ攻撃されて驚いたが、それほど強くなかったな」
「けど焼きそば吐いたのはカッコ悪いぜよ」
「黙れ」
鬼達は11と戦った後、記憶が戻ったようだった
鬼達は海を後にした
『11が遣られたか・・無様だな』
男の額には13と書かれていた、顔は火傷の跡が半分に付いており目は鋭い眼光だった
『さて・・2にでも報告するかな、面倒ごとは御免だからな』
『あれ、サガルド早かったわね』
『あぁ、面倒だから早く来た』
「彼は?」
フードの女が言った
『彼は№13、新しくナンバーズに入る事になったの』
『仮だがな』
「なるほど、しかし宜しいのですか?勝手に増やして」
『いいのよ、増えて困ることは無いから』
『2・・いや姉貴、俺はどうしたらいい?』
「姉貴?」
『サガルドは私の弟よ』
「初耳ですね、弟がいたなんて」
別室でセンナとロディアは戦闘を繰り広げていた
『騒がしいな、姉貴なんだ何かあったのか?』
『ん?、面白い見ものだよ見ておいで』
『いや、面倒だからいい・・それに嫌いな奴がいるから』
『アハ、あなた昔からセンナとは仲が悪いね、犬猿の仲?』
「喧嘩する程、仲が良いのでは?」
『いや、違うと思う』
ーー鬼達が去った後の忘却の海。そこに変わった男が立っていた。
ガスマスクの様な仮面を付けた男である。男は妙な呼吸音を出しながら、忘却の海を眺めていた。
『能力を使ったのは3人か・・・まぁまぁだな』
その声はNo6、タインだった。タインは何やらノートの様な物を書き終えると海に向かって手をかざした。
『戻っておいで・・11』
タインがペットでも呼ぶ様な口調で言うと海に異変が起きた。
静かだった海に突如大渦が現れたのだ。
ーーザバァン!!
海が割れた!と思った瞬間、出てきたのは先程バラバラにされた11だった。
先程の重傷が嘘の様である。11は無表情のまま、タインの前に降り立った。
『鬼達の技、覚えたか?』
ーーコクン。
何も言わず11が頷く。
『よしよし、良い仔だ!鬼共の技を全て食って、お前も早くアルテミスの様に強くなろうな?』
ーーコクン。
また何も言わず11は頷いた。
「さて、帰るか」
「魔界に?」
バソウがアルテマに尋ねた
「あぁ、飛空挺も直ったようだしな、こんな臭い所にいるのはもうウンザリだ」
「だな、じゃ早く戻ろうぜ」
『待て!』
そこにはタインが居た
「あぁ?なんだテメェ、ジェイソン気取りか?」
ガノンが睨みつけた
『先程は11が世話になったな、それといってはなんだが恩返しだ』
11がガノンの頭を握り締め上に上げた、ヴォルケーノの形である、ガノンは驚いた表情だった
『死ね!鬼共』
11はヴォルケーノを撃った、しかしガノンは笑っていた
「まさか、テメェ俺らが自分の技で死ぬとでも?そこまで馬鹿じゃねぇよ」
『!?』
「大体、コピー仕切れてねぇよ、ヴォルケーノはキセルの炎と体内の異常な鬼力『ヘルフレイ』によって起きる特異現象
今の貴様はキセルも現象も起こってないただの炎だそんなんじゃぁ並みの人間は殺せても、俺達は無理だ」
ガノンは11の頭を取り上に上げた
「喰らえ!グルバストルンド」
ガノンの手が真っ赤だった
何かが潰れる音がした、11の顔にガノンの真っ赤な腕が突き刺さった
その瞬間11の体が砂のようになって消えていく
11を破壊し、ガノンは今度はタインに目を向ける
「あ~あ・・・・核石が壊れちまった、作るの面倒くせえんだぞ、材料もうねえしよ」
キイイイイィィィィィ!!
突然、不協和音を起こす風がタインの周りに逆巻く
「ああ、うぜえ・・・・ホンットにうぜえ」
ギイイイイイイィィィィィィ!!
不協和音の音量が上がる
『ぐ・・・!』
その場にいたものは皆両手で耳を塞いだ
「なんつー、殺人音だよ!」
「もういいや・・・・そろそろ『優しいタイン君』は終わりだ・・・・」
そう言って、タインが手に長剣を出した
その剣は先が丸く、そこには刃がついていなかった
「俺の名前はネイヴェン、『処刑人』ネイヴェンだ!」
「言い残す言葉は?」
一人の少年が椅子に座った綺麗な顔立ちの男に剣を向けていた
「ありますが、それを聞いていられるほどあなたに時間がありますか?」
「無いな・・・」
少年は剣を振り上げ
ザシュッ
男の首をはねた
「大天使ミカエル、あなたほどの人がなぜ反魂禁呪などを・・・」
「グワッ!!」
千名の攻撃を受けてキスタがふっ飛ぶ。その肌の色は褐色で、すでに『契約』を果たしているのは分かるが、その力を使っても千名に攻撃を加える事が出来ない。
ブラッドのヴァルゲインも鎧の所々にヒビが入り、さすがに疲労している様に見える。それ程の千名の人格達は圧倒的なのだ。
『もういい加減諦めたら?私達にも勝てないアンタが人間を守るなんて無理x2』
コトミの人格で、千名が喋る。
(くそ・・刀が後2本、いや後1本でもあれば!!)
キスタが歯を食いしばった瞬間、彼の目の前に突然魔法陣が現れた。それは前にエレノアがアリカの修行中に作っていた物である。
魔法陣は一つの光を生み出し、その光が形を作り出すと光はーー1本の短険になった。
「これは・・・」
「転送陣?しかも持ち主が本当にその険を必要としなければ現れない様、ロックをかける程の高等魔術だと?」
驚いたブラッドが口を開く。キスタも始めはただポカンと見ていたが、それが自分のだと分かると力強く短険を手にした。
(キスタ・・・ボクも力を貸すよ)
(クシー?クシーか!?お前が何故・・・っ!?)
頭の中に流れ込んで来た神の使いの意志にキスタが驚いていると、体の中に新たな力が流れ込んで来る。
それは愚者を裁く力・・・第三の力、(青の力)だった。
(始まりは白、終わりは黒、白は命は生み、黒は終演を呼ぶ。終演来たる前、青は愚者を裁き、世界を調和へと誘う。調和の象徴青よ・・・今、生と死の間で新たな世界を作らん!!)「おおおおおおおおっ!!」
声と共にキスタの力が膨れ上がる。3人のいる地域一帯を青き雷が包んだ。
・・・・・
雷が巻き上げた砂煙によって辺り一体が見えなくなり、30秒が経過しようやく視界が晴れてきた
「ちきしょう・・・コトミの奴・・・・攻撃来るって判ってたからわざと俺と変わるのを拒みやがったな・・・・」
男の声、おそらくゴルデックだろう
そのセリフから推測するに、コトミと変わるのが遅かったため防御が遅れ、少しダメージを受けたようだ
砂煙が完全に晴れ、センナが姿を見せる
「カーナ!体を治せ!」
センナはそう怒鳴った
「まったく、行ったり来たり面倒くさいなぁ・・・・」
女の声、さっきロディアと戦っている本体の方で発せられた声と同じ
「みんなして人使い荒いなぁ・・・」
自分の体の焦げた部分を撫でていくとあっという間に治っていく
「で、誰と変わるの?・・・・うん、わかった」
今度はセンナの手に鞭が現れ、それを軽く振る
「やはり表は良い、自由に体を動かせるのもなんとも言えず快感だ」
男の声、ゴルデックとは違う繊細な感じがする声
「初めまして、我が主の敵よ・・・・私の名前は『フォルテ』、よく記憶しておけ・・・お前を倒す者の名だ!!」
フォルテが鞭を振ると、鞭が蛇のようにキスタに襲い掛かる
できる・・・・・確証は無いが・・・・
いや・・・違う・・・
確証があるからできるんじゃなくて
例え無くてもあると思うからできる!!
キンッ!
キスタが鞭を弾いた
センナは鞭が弾かれたこと自体には驚かなかった
「なっ!」
しかし、キスタの様子を見て驚いた
キスタが両手で持つ2本の剣
それとあわせて、浮んでいる剣が左右2本ずつ計4本
両手の剣と合わせて6本
その6本の剣が、広げられた天使の翼のような錯覚を起こさせる
「馬鹿な・・・・」
センナ本人の声、その声で確かに言った
「『六刃』は使えないはずだ!!」
「ああ、さっきまではな!」
宙に浮ぶ4本の剣が一斉にセンナに襲い掛かる
「ゴルデック!」
そう言うと一瞬でゴルデックに変わり、盾で剣を防いだ
しかし、剣は弾かれても方向を変えまたすぐに攻撃してくる
「キスタばっか良いカッコしちゃってさぁ」
ブラッドはヴァルゲノンを操っていた
「さぁ、クライマックスだ!ヴァル!頼むぞ」
〔了解・・六刃殿、頼みますぞ〕
「あぁ、任せろ」
ヴァルゲノンはさっきよりも早く素早くセンナに突撃して行った
「馬鹿めが!」
ゴルテックは盾でヴァルゲノンの槍を防いだ
〔青二才が!調子に乗るな!ケルシト〕
〔はいはい・・遣りますよ〕
ケルシトがレイピアで斬り刻む
しかしゴルテックには皆無だった
〔はなから私達だけではやろうと思ってはいませんよ〕
「任せろ!」
キスタがゴルテックの後ろに移動し、6つの剣で突き刺した
「ッチ!」
「そんな剣で俺の鎧は砕けねぇぞ?」
「分かっているさ。だが俺も先程とは違う!!」
「!?」
キスタが体内で魔力を高めると、刺さった6本の剣が青く光り始め放電する。その雷は全てゴルテックの鎧に流れ込んだ。
「ーーインドラ・アロー」
『ギャアアアアアアッ!?』
全ての剣の雷が流れ込んだ瞬間、ゴルテックの鎧が吹き飛ぶ。
それは千名の、ミコトの、ゴルテックの、そして全ての人格達の断末魔の悲鳴だった。
ーードサッ。
黒焦げになり、千名が倒れる。しかし息はまだある様だ。
「グ・・カーリー・・治療を」
「させると思ったか?」
ーーグシャ!!
虫の息の千名にトドメを指す様に、ヴァルゲノンが空中でジャンプして大刀で体を真っ二つにする。
「く・・・キスタ・・逃げろ。お前では(あの方)には勝て・・」
最後に己の指名を果たし、人形は粉々に崩れた。
ピクッ
センナが急に何かを感じ取ったようにあさっての方向を向いた
「人形が壊れましたか、まあいいです」
ハァ・・・・ハァ・・・・
ロディアの表情は疲労の色で満ちていた
「痛みだけと言うのも結構な精神的疲労になるでしょう?」
「この程度の痛み・・・・耐えられる・・・・」
そうは言ってもロディアから苦痛の表情は消えない
「嘘おっしゃい、蓄積された痛みはそう簡単に耐えられるものではありませんよ?」
「関係無い・・・・『耐える』と言ったら『耐える』、ただそれだけ・・・・」
弱々しい声、今にも崩れ落ちそうだった
「ジュエンタ、とどめを指しなさい」
センナがそう命じた
「その言葉を待ってた♪」
爪が伸びる、人格がジュエンタに変わったときの特徴
その爪でロディアに襲い掛かる
「全封印・・・・解印!」
そのとき、ロディアが両腕にしていた全ての腕輪が光となって弾け飛んだ
ザクッ!
「チッ!」
ジュエンタが悔しそうに舌打ちをした
彼女の爪はロディアの手のひらに刺さっていた
そして・・・・
ロディアの姿はカンジュやアシュノのそれと同じだった
センナの無数にある人格の中で、エナティは彼にとって特別な存在だった
メルルナは暇していた
彼女はどうやって暇を潰そうか考えていた
ここはセンナの精神世界、つまりは頭の中とも言い替えることもできる
そんな中ではメルルナは一つの人格でしか過ぎず、また彼女もそれを理解していた
この世界の中では人格達は形を持たないため、魂を抽象化した姿である球体の姿をしていた
ここは何も無いけど街と同じ
人がたくさんいるから
センナ本人も、またそこに住む全ての人格たちも、ここに住む人格達全員を覚えてはいない
私達は所詮記憶で構成された擬似生命でしかない
だから忘れられれば・・・・
―――消える
彼が現実逃避のために人格を作り始めたのが11のとき。
もう彼は19だから、最初の段階で作られた私は既に8年ここにいることになる
はっきり言って暇すぎる、他の人格と話をすることもできるけど、話のネタが無いに等しいのですぐに飽きる
ここにあるものは2つだけ
大きな壁と、小さな小屋
壁は人格を2つに分ける文字通り『壁』、壁の向こうには危険な人格が満載だとか
小屋は基本的に立入禁止、なかにはセンナとエナティがいる
センナはエナティにしか心を開いていなかった
当然と言えば当然、唯一自分が心を開ける相手として作り上げたんだから
でも別にセンナはエナティを愛しているとかそういう風ではなかった
そのときには気付いていなかったけど、既にその時点でセンナのエナティに対する感情は異状のものだった
今も言ったように愛していたわけじゃない
ずっと一緒にいたかった、その想いを究極の方法で実現させた
ガチャッ
小屋の扉が開いてエナティが出てきた
「あ、メルルナちゃん!」
くどいようだけどもう一度言おう
エナティは特別だった
それは姿を見ただけで解る
この球体生命だけの世界で、センナ以外でエナティは唯一人の姿をしていた
「エナティ、仕事は終わったの?」
「うん、簡単だった」
このとき既に『センナ』は創始者の使者になっていた
15のときにエルナ様がセンナを引き取ったから当たり前ではあるんだけど
でもセンナは仕事をしない、ほとんど他の人格達に仕事をさせていた
今から約1年前。罪の世界に迷い込んだ人間が力をつけ、5人目の『神』を名乗った時センナはこの計画を主から聞いた。
その頃にはキスタを始め、ロディア、アシュノ、カンジュといった様々な人形が彼の側にいたが、センナはここである事を思い付いた。
この計画で自分を死んだ事にして人形達を競わせ、残った一体を自分の新たな体にする。
そのために『断罪者』は願っても無いカモだった。
そして闘いが始まるとまずカンジュが、そしてアシュノが脱落した。
ロディアを忘れていたセンナは残ったキスタを体候補と決め、彼が強くなるのを待っていたのである。
「私達は・・・私達は貴方の操り人形じゃない!!」
ロディアの片目から涙がこぼれる。彼女は最後の技を使い、センナを道連れにしようとしているのだ。
「人形は人形だよ。それにお前は大事な事を忘れている。ーーここが敵の本拠地だと言う事を」
「えっ・・?」
ーードスッ!!
センナの言葉を聞いた瞬間、何者かの手がロディアの体を貫いた。彼女はセンナを倒す事に集中するあまり、周りを見ていなかったのだ。
貫かれた手の先から血が滴り落ちる。ロディアはその目で自分が致命傷だと言う事を認識した。
『だから言ったろ?覚えてろって?』
「ナン・・バー・・1」
手が引き抜かれ、ロディアが倒れる。
その顔を憎々しげにNo1が踏みつけた。
3つ巴の闘い。 キスタ・ブラッドOvsセンナ(人形)X ロディアXvsセンナ(本体)O
「なにしてるの?」
ゾクッ
心の底に響くような深く冷たい声
№1は思わずその方向を向いた
しかし、おそらく彼のその行動は間違っていただろう
トスッ
振り向いた№1と誰かがすれ違った
「勝手にメルルナちゃんを殺さないで」
№1は銅像のように静止して動かなくなった
赤い花が咲く
真紅の死の花
つまりは・・・・・血
バタンッ
№1はそのまま倒れた、それによって胸に刺さったナイフが更に深く刺さる
でも最早関係無いだろう
即死
彼は自分がどうなったかも理解せずに、ただの血袋と化した
『センナ』がロディアの胸に手を当てる
「死なせないよメルルナちゃん、絶対に死なせない・・・・」
見る見るうちに傷口が塞がり、ロディアの体に血の気が戻ってくる
「勝手に死ぬなんてこと、許さないんだから・・・・」
その女は笑った
センナではない、センナの姿をした誰か
いや・・・『何か』
「私の事、忘れちゃダメだよ・・・・」
―――メルルナちゃん♪―――
(それ)は満面の笑みを向けた
くどいようだがもう一度言おう
エナティは特別な存在だった、センナにとっても
私、メルルナにとっても
ある日私はこう言った、何気ない一言だった
「ねえ、何でエナティだけ自分の体を持ってるの?」
そこには嫉みなんて物は無く、ただ単純に疑問をぶつけただけだった
勿論、自分だけの体に対して憧れはあった
しかし、それはエナティの前では「ネタミ」と呼べるレベルにまで達していなかった
「欲しいの?」
「え?なにを?」
「この体」
「ううん、その体はエナティの体、欲しいと思っているのは『自分固有』の体だよ」
「ふ~ん」
エナティはは何かを納得するような反応を示したあと、こう切り出した
「じゃあ、メルルナちゃんの体も作ってあげる」
「え?」
当然私は驚いた、その驚きは何に対してなのか今思えばちょっとした疑問になる
「この体は私の能力で作ったものだから、メルルナちゃんの体も作ることは簡単にできると思う」
「そうなの?」
もっと言う事はあっただろうけど、その言葉しか出てこなかった
「じゃあいくよ」
「え?え!?いきなり!?」
「善は急げ♪」
エナティが胸に当てていた手をどけると、そこに白い棒状のものがあった
「なに?こ・・・」
「それ!」
その瞬間私の体が光に包まれた
その眩しさ故に私の目は自然に硬く閉じられ、そしてその目を開けると
「あ・・・・」
いつの間にか用意されていた鏡を見て、一番最初に出てきた感情は戸惑いだった
紛れも無くそこにいるのは自分で、既に球体ではなく、一人少女が鏡の中にいた
「どう?感想は?」
「・・・・・・」
その問いに対して何も答えられなかった
言葉が見つからなかった
「ありがとう」
やっとその一言が出た
バフッ
「キャッ!」
エナティにいきなり頭から何かをかぶせられた
「うん、似合う似合う」
白いローブ、少しサイズは小さめだったけど、そんな事は気にならなかった
「やっぱりその姿で裸はまずいからね♪」
そのエナティの明るい笑顔が輝いて見えた
その体が今の私の姿、カンジュやアシュノはこの体のコピーを使っていた
少女の姿はカムフラージュ、千名が生きていることを知られたくなかった
それと同時に名前を変えた
『ロディア』、どこかの言葉で『幸せの塔』と言う意味らしい、エルナ様につけてもらった
名前を変えたのはもう一つ意味があった
けじめ、と言うのが正しいだろうか?
それは、エナティを諦めるために
唯一の友達で、姉のような存在だったエナティを
さっき確信した
エナティはもういない
センナが体を奪った、それだけで判断材料に足る
それと同時に、『メルルナ』は完全に消えた
代わりに『ロディア』の存在が確定した
「ロディア」
キスタの声で目が覚める
白い部屋、血の跡が床に二つあるだけであとは何も無く、自分たち以外には誰もいない
「大丈夫か?」
心配そうにキスタが尋ねる
「平気です」
ロディアは胸に手を当て、心臓が動いていることを確認する
そこにある血の跡の場所には、肝心の傷が欠片も無かった
「・・・・・」
ロディアがあることに気が付いて、自分の体を確認してみた
そして、少女の姿であることを確認しホッと溜息をついた
"『機械仕掛けの街』~【46】 (47号へ続く)" へのコメントを書く