『機械仕掛けの街』~【46】 (47号へ続く)

リレー小説

「何で生きているか、だと?」
目の前の男は怒りを含んだ声がでそう言った
「私を殺したお前がよくそんなことを言えるものだ」
「自業自得だろう、お前が魔元石に手を出したからだ」
千名と呼ばれたその男は剣を構えた
「そういえばお前は名前を変えたのか、そんな格好までして別人に化けたいようだな?」
「関係無い、今の俺は『キスタ』だ、それ以上でもそれ以下でもない」
「・・・・・・姿は変わっても、その性格は変わらないなぁ」

キンッ!
剣が重なる音がする

「もうお前は必要無い、カンジュやアシュノが立派に働いてくれたよ」

キキン!

「ああ、あの出来損ないの人形達か?まだ残っているのか?」

キンッ!キンッ!
段々とスピードが上がっていく

「答える必要は無いだろ」

ギキキキキキンッ!

「その答えは『はい』と言っているようなものだ」

キンッ!
剣を合わせたままお互いの顔を見る

「ああいるよ、あいつはもうお前より断然強い!」

キンッ!
キスタが男の剣を弾く
 
「終わりにしようか、センナ」


カルテ№13728
名前:センナ・ハルイット・ラウ(12)
性別:男
病名:解離性同一性障害

11月19日
記載者:トール・ハーコ
一般的に多重人格と言われている病気
魔法、条法、錬法、回帰法などを試しても一行に治る気配は無く、周囲の状況によって治るケースがあるらしいが、彼のそれはこの特殊な病気の中で更に特殊だった
まず人格の数が異状で、その数は確認しただけでも約200
おそらくこれでもまだ半分程度だろう
なにせ、彼は一つ物事がある度に新たな人格を作り上げる
今日新たに現れたコトミという少女の人格は長年こういう経験をしてきた私ですら恐怖を感じた
なにせフォーク一本で壁を粉々に破壊してしまった
その人格はしきりに『私を殺せ』と言っていた
緊急手段として動物捕獲用の麻酔弾を使用した


「強くなったじゃないか、セ――」
ドスッ!
「ぐっ・・・」
「その名で俺を呼ぶな」
キスタは剣に付いた血を拭い、再びセンナに剣を向ける
「吐け、お前の知る情報を洗いざらいにだ」
その言葉にセンナはニヤッと笑った
「一緒に遊ぼう、コトミ」

『なんだか、俺のけもので派手にやってくれてるなぁ』
「今は黙っててくれないか?ブラッド」
キスタは剣を構えたままブラッドの方を見向きもしないで言った
『・・・先に帰っていいか?』
「駄目だな」
千名はブラッドに言った
「何故だ!コイツは関係ない!」
「いや、その者も来てもらう、そいつは珍しい能力を持っているからな」
『やれやれ・・じゃぁ俺は見学でもしとくよ』
ブラッドは崖に腰を掛けた、その瞬間だった、千名は剣をブラッドの喉元に突き立てた
『おいおい・・なんだよ』
「油断するな、死ぬぞ」
千名はブラッドを見下した


「あれ?此処違うんじゃねぇの?」
リナイトがそう言った
「おかしいなぁ、地図では此処だけどね」
バソウが返事した、三人が来たのは海岸だった。目の前に海が広がり、海の家が建っていた
「だまされたね」
ソウバスは笑いながら言った
暫くするとアルテマ・ドミス・ガノンまでやって来た
「あぁ?なんでお前らがコンナとこにいる?」
アルテマが聴いた
「まさか、おんしゃんらも全員だまされちょったけん?」
「ッチ、最悪だ」
6人は口々にため息を付いた、しかしナンバーズ件は誰も言わなかった
「そういえば何で鬼のメンバーが此処に集まってるの?」
「そういえばそうじゃなぁ・・なんででじゃろか?」
皆記憶を失ってしまったのである。覚えていることは自分が鬼・名前・鬼のメンバーぐらいであった
「そういえば、ベリアルはどうした?」
アルテマが手甲爪をグーパーしながら聴いた
「知らんな」
ガノンは海の石を投げていた


鬼とは昔から居た戦闘所属で、魔界の中心部隊だった。拠点地は『アルバスク』という魔界の田舎町だった
現在の構成は7人である
隊長のアルテマ・ジュルピス
副隊長のバソウ・シーゲンス
司令官のガノン・クライヴ
伝令官のソウバス・ミーケ
切込隊長のリナイト・フレン
整備士のドミス・マスタル
総管理官のベリアル・ブーストルダン
という感じであった
鬼は、鬼対専用部隊『蟹粥』と敵対していた。その隊長が死魔王だった。
死魔王は魔王と友好関係を結んでいたため二魔王同盟という。魔王ナイトメアはこの同盟を今も結んでいる。
それは死魔王も同じことである
『蟹粥』のメンバーは少ないがとても戦力には長けていた
隊長・死魔王
副隊長・魔王
遠距離隊長・フランベルク
自由戦士(特別につくられた)・マルコスタン
特に、死魔王のお気に入りはマルコスタンだったらしい


「ねえ、いつ私を殺してくれるの?」

ガンッ!
『ぐあっ!』
キスタとブラッドが同時に吹っ飛ばされる

「なんつうパワー・・・・それに、様子が変わったぞ?」
ブラッドの表情が困惑の色に変わった
「人格交代、あいつ『センナ』の能力のようなものだ」
「ようするに人格が変わって強くなったってことか」

「あの人格は『コトミ』、凶暴性が高くて暴走に近い
近づけるな、常に距離をとれ、捕まったら終わりだ」
「りょうかい」

「ねえ、早く私を殺してよ」
幼い少女の声、さっきまでの男の声とはまるで違っていた
その瞬間、男の姿が消える
「な!」
「落ち着け、『コトミ』の能力だ
 あの人格のときは光を透過して透明になることができる」
「ちょっと待て!それってまさか人格ごとに能力があるってことか!?」
「話が早くて助かる、ひとつひとつの能力はレベルが低いものだが油断はできない、俺も全てを把握しているわけじゃないからな」

ザッ

足音が聞こえ、咄嗟に二人はその場から離れる
ドゴッ!
地面が深く抉れた
おそらく(コトミ)の攻撃によるものだ

「手早く倒した方が早そうだな」
ブラッドは大きな翼の生えた翼竜を召喚した
「リゼカース!行け!」

キスタはそいつがいると思われる場所に剣を投げた
カンッ
透明な手に弾かれたらしい
「場所はわかった、やれリゼカース!」
『グオオオオオ!!』
翼竜が翼から大量の棘を出現させ、それを放った

その瞬間男の姿が現れた
「そんなチンケな攻撃、俺にはきかねえ!」
「!!」
男の体が鎧に包まれる
キンッ、キン、キンッ!
鎧が棘を全て防いだ
「チッ、今度は『ゴルデック』か」
「能力は?」
「狭範囲の空間凝結、今の鎧もそれに含まれる」
「よし、ならリゼカースで対応できる」

キスタは地面に4本剣を刺し、そのうち2本を引き抜く
「せめて4本・・・・」

「リゼカース!行け」
リゼカースは棘を次々と出したがゴルッテクには効かなかった
「な!おいおい反則だってあの能力」
「しかし、最強という訳ではない」
キスタは四本の剣を同時に投げた、ゴルテックは咄嗟に横に逃げた
「!今だ!仕留めろ」
リゼカースは棘を10本出した
「甘いわ!」
ゴルテックは地面に自分の拳を叩き付けた
地面は割れて巨大な土の壁が現れた
「ッチ、リゼカースは駄目か・・・なら仕方ねぇ」
「お前、あれを出すのか!」
「あぁ、出て来い!ヴァルゲノン」
召還された人形は馬に乗っていた、黒い武装された馬にまたがっているのは両手に巨大な槍を装備していた。
鎧と兜は真っ黒で赤マントを翻していた
「ヴァルゲノン、頼むぞ!」
馬が大きく叫び、後ろ足で立った
そして前足を地面に叩き落して、強烈な気を出していた
「ケルシト!てめぇもだ!」
ブラッドはケルシトまで召還した
「コイツは俺の相棒だからな、忘れちゃいけねぇ」

ヴァルゲノンは兜から赤い眼だけを出していた
〔死ぬのが恐いか?小僧〕
「あ?誰に聞いている」
ゴルテックは拳を鳴らした
〔ふん、よほど腐ってるようだな〕
「だから誰に聞いてる?馬上から失礼な奴だな」
〔ヴァルゲノンさん、先ずは礼儀ですよ〕
ケルシトはゴルテックにフカブカとお辞儀をした
(馬鹿め!)
ゴルテックはいきなりケルシトに殴りかかった
「ケルシト!避けろ」
ケルシトは顔は骸骨だったが笑っていた、ニヤッと笑って瞬歩で敵の拳を避けた
「なかなかの反応だな、だが次は!」
「俺を忘れるなよ!センナ」
キスタが四本の剣をゴルテック目掛けて撃った
「無駄だ!貴様らの攻撃は効かん!」
〔黙れ!小僧〕
ヴァルゲノンが後ろからゴルテックを貫いた
「フン、まだだ」
男は元の姿に戻った、そしてマタ形を変えた

ブラッドのネクマンシーは7体
一体目は魔界の貴族騎士ケルシト、ブラッドの相棒である
二体目は天狗デシヌイン、両目共、鬼のアルテマによって斬られた為、光を失った
三体目は鳥人ガースカイ、主に運搬専用に使われる顔は鳥、体は人間である、ペルーを払わないとスネる
四体目は飛龍リゼカース、棘を出して攻撃する、全体的に体は緑、葉緑体が有る為植物と同じ環境でもある
五体目は魔獣ヘルバウスン、四本足で体には赤い斑点がある、牙が長い
六体目は魔龍ヴケルイス、黒い体で青い羽が特徴、早い攻撃が得意で、魔界で最も恐れられた竜
七体目は騎士ヴァルゲイン、魔界の最強戦士、馬にまたがり素早く仕留める事から『早殺』の異名を取る


「っさて、これからどうする?」
「そうだねぇ、気楽にやるか」
「フン、賛成だ」
アルテマは海の家に立ち寄った
「いらっしゃい」
店長はねじり鉢巻のおとこだった
「焼きそばを一つ」
「ヘイ」
アルテマは椅子に座り肘を付いて窓の向こうを見ていた
「お待ち」
店長の威勢の良い声が響いた
「あぁ、そこに置いといてくれ」
店長は机に焼きそばを置くとまた調理台へ戻っていった
「おい」
アルテマが店長を呼んだ
「はい何でしょう?」
「この海はいつも誰もいないのか?」
「へい、昔は家族連れやカップル等が多い有名なスポットだったんですが、機械が多くなったせいで見た目だけ良く中身は汚い海なんですよ」
「そうか、スマナイ」
アルテマは軽く笑って言った
「ほんまにどうするかいのぉ・・アルテマが隊長やから決めるのはアヤツやけんど」
「それより此処はどこかって事ですよ」
バソウはあたりを見回した
「木々に囲まれた普通の海ですね」
「なんでこんなとこに来たんじゃろか?」
「さぁ」

記憶の無くしたアルテマ達が暢気に焼きソバをすすっていると、一人の少年が降り立った。
その少年は髪も着ている服も真っ白で、表情すら無い。
そして頬に『11』と書いてあった。
「あれ?君は確か何処かでーーゲブッ!!」
少年を見てアルテマが何かを言おうとした瞬間、アルテマは少年の攻撃でふっ飛ばされた。それでも少年は表情を出さない。
少年はアルテミスの後、新たに生まれたパズルピースの1体だった。


「彼らを始末する気ですか?No2さん」
キスタ&ブラッドvs千名。そして鬼達と対決する11の映像を見て白いローブの女がつぶやく。
アルテミスはNo2の横で自分に似た11をまじまじと見ていた。
『ええ、忘却の海ならパズルピースは関係ありませんし、あちら側についた時点でアルテマ達は敵ですから』
「良いでしょう。では次に、勝手に人形をキスタの元に行かせましたね?カーリー」
白いローブの女が側にいたカーリーに聞く。カーリーは仮面を取った。もちろん正体は千名である。
今キスタが闘っているのは人形の方だったのだ。
「申し訳ありません、このままキスタを死なせたくは無かったので」
「まぁ、良いでしょう。この闘いの結末を見届けるとしましょうか」
そう言うと白いローブの女は2つの闘いに目を向けた。

「見つけました・・・・」
「あら?予定より早かったわね、あと27秒後に来る予定だったのに」
白いローブの女がゆっくりと後ろを向く
「誰ですか?」
千名が女に尋ねる
「風幻龍リプティフランカと雷幻龍ガロンザックスですよ」
「・・・・少し驚きました」

「一応聞いておきましょう、何故こんなに早く到着したんですか?」
「答えがわかっている質問をして楽しいか?」
ガロンが殺気を振りまきながら聞いた
「特別に答えてあげる、この子のおかげよ」
リプティがそう言うと後ろから小さな影が歩いてきた
黒い服にフードで顔を隠した少女
「ん?だれだ?」
千名が尋ねる

「久しぶりです・・・いえ、初めましてと言った方がいいですか?マスター」
「マスター・・・・ああ、お前も人形か、名前は?」
少女はフードをとった

「ロディアです」
名乗った後、ロディアは辺りに大量の鎖を出現させる

「その体、『エナティ』の体を奪ったんですね、結局人形遣いが最終的に考えることなんてそれですよね、綺麗で強い体」
「ええ、やっぱり私は男より女である方が良いみたい
時々いるらしいわ、男に生まれながら女として生きるように運命を背負わされた者が」
「興味ありません」
「なら何にあるの?」

「まずその体を『エナティ』に返してください」
「嫌よ」
キンッ!
ロディアが一瞬で間合いを詰めて攻撃するが、その攻撃は簡単に防がれた

「主人に逆らうとは、ダメな人形ね」
「あなたの人形が特別なのはあなたの方が知っているでしょう?」
「そういえば本当に記憶にないんだけど、あなたみたいな人格はあったかしら?」
「思い出さなくていいです、ここであなたを殺します!」

ガシッ!

一瞬で千名を鎖で雁字搦めにした
「私達はあなたに逆らうことができる、私達は血も流す、あなたがいなければ完全に『人』になれる!」

ギリギリッ!
鎖が千名を強く締め付ける

「早く私を殺して・・・・」

「!!」
パシュッ
鎖が粉々に砕け散る
「馬鹿な・・・・『コトミ』はあの人形の中にいるはず・・・」
「ねえ『メルルナ』ちゃん?早く私を殺して・・・・辛い時は私を殺してくれるっていったよね・・・」

「メルルナ・・・・・」

その名前を聞いてロディアは拳を握り締める
「私はメルルナじゃない・・・・私の名前はロディア・・・・」
「早く・・・・殺して・・・・、じゃないと私」

ドスッ!
千名の拳がロディアの腹部にめり込む
「メルルナちゃんまで殺しちゃう・・・・」
千名は涙を流していた、泣いているのはコトミだが体は千名
その光景は不可思議なものだった

「ずっとあなたが嫌いだった・・・」
「!!」
千名の声が急に冷たく変わった
咄嗟にロディアはそこから離れた

「『ジュエンタ』・・・・、あなたも残ってたんだ」
「メルルナ!久しぶりに会えて嬉しいよ!だって」
千名の爪が鋭く伸びる

「ずっとあんたを殺したかったから!!」
その爪でロディアに襲い掛かった

パシッ
その爪をかわして、腕を抑える
「私もあなたは嫌いです」
ゴキッ!
そのままその腕をへし折った
流れるような動きでそのまま千名を蹴り飛ばす

「痛い・・・・痛いよメルルナ・・・・」
立ち上がった千名の様子は明らかに変だった
「この痛み・・・・あんたにもあげるよ」
千名は手をロディアに向けた

(しまった!)

「クロスペイン!」
トスッ
ロディアの胸部に矢が突き刺さる

ビキッ!
「ぐあ・・・・」
ロディアは急に右腕を抑える

「忘れてた・・・・あなたの能力・・・・
自分の受けた痛みを相手にも与える力・・・・」
「でもあんたには痛みしか行かない、治ったという情報はその矢の中には入らないから、痛みをあんたの体にだけ残せる」
千名は折れた右腕を軽く撫でると、あっという間に普通に動くようになった
「メルルナさん、私の事は覚えていますか?」
「治癒師『カーナ』・・・・」
「正解です、ではもう一度ジュエンタさんに変わります」

千名の爪が再び伸びる
「さあ、どんどん痛みをあたしに与えてみなよ!」


「11?ナンバーズかいのぉ?」
「さぁねケド、ウザイね」
「おうよ解らすか?」
「フン」
鬼は全員笑っていた
「そうだベリアルは?」
バソウが突然聴いた
「さぁ、来たないな」
ソウバスは答えた
「それより目の前のコイツをなんとかしようぜ」
「だな、俺達に喧嘩、売らない方が身のためだったな」
6人は瞬時に消えた、11はあたりを見回す事無く黙ってじっとしていた
「余裕かぃ?」
ソウバスが首を切り裂いた
11は咄嗟に振り向く、しかしソウバスはいなかった
「こっちだ馬鹿かテメェ?」
ガノンが11の頭を握り締め、上に持ち上げた
「ヴォルケーノ」
キセルから炎が腕に伝わり11の顔は火傷だらけになった
「ラスト」
リナイトが心臓部分を貫いた
11は血みどろになってゆっくり倒れていく
その横には黒いフードを深くかぶった男が黒い太刀を持っていた
「ベリアル!」
バソウが驚いた表情をした
「ふう、全く、ナイトメアの野郎に殺されたからな、まぁミカエルさんに蘇生してもらったが」
「やっと揃ったかっでコイツどうする?」
「解らす」

「ドミス、頼む」
「ヘイヘイ、分かったわいな」
ドミスはパンっと手を鳴らして小さな兵隊を出した
「よし、解体作業開始じゃぁ」
兵隊達は11の骨、肉全てを削ぎとって跡形も無くしてしまった
「俺らに喧嘩売っといてコンナもんか・・」
「全くだな」
「しかしぃ、どうせ人形とかなんかなんじゃなのか?」
「ありえるのぉ、まぁナンバーズもそこまで暇じゃないんじゃろ」
「オイオイ・・まだ人形か分かんないだろ」
11の肉と骨は海に沈められた
「はじめはイキナリ攻撃されて驚いたが、それほど強くなかったな」
「けど焼きそば吐いたのはカッコ悪いぜよ」
「黙れ」
鬼達は11と戦った後、記憶が戻ったようだった
鬼達は海を後にした

『11が遣られたか・・無様だな』
男の額には13と書かれていた、顔は火傷の跡が半分に付いており目は鋭い眼光だった
『さて・・2にでも報告するかな、面倒ごとは御免だからな』


『あれ、サガルド早かったわね』
『あぁ、面倒だから早く来た』
「彼は?」
フードの女が言った
『彼は№13、新しくナンバーズに入る事になったの』
『仮だがな』
「なるほど、しかし宜しいのですか?勝手に増やして」
『いいのよ、増えて困ることは無いから』
『2・・いや姉貴、俺はどうしたらいい?』
「姉貴?」
『サガルドは私の弟よ』
「初耳ですね、弟がいたなんて」

別室でセンナとロディアは戦闘を繰り広げていた
『騒がしいな、姉貴なんだ何かあったのか?』
『ん?、面白い見ものだよ見ておいで』
『いや、面倒だからいい・・それに嫌いな奴がいるから』
『アハ、あなた昔からセンナとは仲が悪いね、犬猿の仲?』
「喧嘩する程、仲が良いのでは?」
『いや、違うと思う』


ーー鬼達が去った後の忘却の海。そこに変わった男が立っていた。
ガスマスクの様な仮面を付けた男である。男は妙な呼吸音を出しながら、忘却の海を眺めていた。
『能力を使ったのは3人か・・・まぁまぁだな』
その声はNo6、タインだった。タインは何やらノートの様な物を書き終えると海に向かって手をかざした。
『戻っておいで・・11』
タインがペットでも呼ぶ様な口調で言うと海に異変が起きた。
静かだった海に突如大渦が現れたのだ。

ーーザバァン!!
海が割れた!と思った瞬間、出てきたのは先程バラバラにされた11だった。
先程の重傷が嘘の様である。11は無表情のまま、タインの前に降り立った。
『鬼達の技、覚えたか?』
ーーコクン。
何も言わず11が頷く。
『よしよし、良い仔だ!鬼共の技を全て食って、お前も早くアルテミスの様に強くなろうな?』
ーーコクン。
また何も言わず11は頷いた。


「さて、帰るか」
「魔界に?」
バソウがアルテマに尋ねた
「あぁ、飛空挺も直ったようだしな、こんな臭い所にいるのはもうウンザリだ」
「だな、じゃ早く戻ろうぜ」
『待て!』
そこにはタインが居た
「あぁ?なんだテメェ、ジェイソン気取りか?」
ガノンが睨みつけた
『先程は11が世話になったな、それといってはなんだが恩返しだ』
11がガノンの頭を握り締め上に上げた、ヴォルケーノの形である、ガノンは驚いた表情だった
『死ね!鬼共』
11はヴォルケーノを撃った、しかしガノンは笑っていた
「まさか、テメェ俺らが自分の技で死ぬとでも?そこまで馬鹿じゃねぇよ」
『!?』
「大体、コピー仕切れてねぇよ、ヴォルケーノはキセルの炎と体内の異常な鬼力『ヘルフレイ』によって起きる特異現象
今の貴様はキセルも現象も起こってないただの炎だそんなんじゃぁ並みの人間は殺せても、俺達は無理だ」
ガノンは11の頭を取り上に上げた
「喰らえ!グルバストルンド」
ガノンの手が真っ赤だった
何かが潰れる音がした、11の顔にガノンの真っ赤な腕が突き刺さった

その瞬間11の体が砂のようになって消えていく

11を破壊し、ガノンは今度はタインに目を向ける
「あ~あ・・・・核石が壊れちまった、作るの面倒くせえんだぞ、材料もうねえしよ」

キイイイイィィィィィ!!

突然、不協和音を起こす風がタインの周りに逆巻く
「ああ、うぜえ・・・・ホンットにうぜえ」

ギイイイイイイィィィィィィ!!

不協和音の音量が上がる
『ぐ・・・!』
その場にいたものは皆両手で耳を塞いだ
「なんつー、殺人音だよ!」

「もういいや・・・・そろそろ『優しいタイン君』は終わりだ・・・・」
そう言って、タインが手に長剣を出した
その剣は先が丸く、そこには刃がついていなかった
「俺の名前はネイヴェン、『処刑人』ネイヴェンだ!」


「言い残す言葉は?」
一人の少年が椅子に座った綺麗な顔立ちの男に剣を向けていた
「ありますが、それを聞いていられるほどあなたに時間がありますか?」
「無いな・・・」
少年は剣を振り上げ

ザシュッ

男の首をはねた
「大天使ミカエル、あなたほどの人がなぜ反魂禁呪などを・・・」


「グワッ!!」
千名の攻撃を受けてキスタがふっ飛ぶ。その肌の色は褐色で、すでに『契約』を果たしているのは分かるが、その力を使っても千名に攻撃を加える事が出来ない。
ブラッドのヴァルゲインも鎧の所々にヒビが入り、さすがに疲労している様に見える。それ程の千名の人格達は圧倒的なのだ。
『もういい加減諦めたら?私達にも勝てないアンタが人間を守るなんて無理x2』
コトミの人格で、千名が喋る。
(くそ・・刀が後2本、いや後1本でもあれば!!)

キスタが歯を食いしばった瞬間、彼の目の前に突然魔法陣が現れた。それは前にエレノアがアリカの修行中に作っていた物である。
魔法陣は一つの光を生み出し、その光が形を作り出すと光はーー1本の短険になった。
「これは・・・」
「転送陣?しかも持ち主が本当にその険を必要としなければ現れない様、ロックをかける程の高等魔術だと?」
驚いたブラッドが口を開く。キスタも始めはただポカンと見ていたが、それが自分のだと分かると力強く短険を手にした。

(キスタ・・・ボクも力を貸すよ)
(クシー?クシーか!?お前が何故・・・っ!?)
頭の中に流れ込んで来た神の使いの意志にキスタが驚いていると、体の中に新たな力が流れ込んで来る。
それは愚者を裁く力・・・第三の力、(青の力)だった。
(始まりは白、終わりは黒、白は命は生み、黒は終演を呼ぶ。終演来たる前、青は愚者を裁き、世界を調和へと誘う。調和の象徴青よ・・・今、生と死の間で新たな世界を作らん!!)「おおおおおおおおっ!!」
声と共にキスタの力が膨れ上がる。3人のいる地域一帯を青き雷が包んだ。

・・・・・
雷が巻き上げた砂煙によって辺り一体が見えなくなり、30秒が経過しようやく視界が晴れてきた
「ちきしょう・・・コトミの奴・・・・攻撃来るって判ってたからわざと俺と変わるのを拒みやがったな・・・・」
男の声、おそらくゴルデックだろう
そのセリフから推測するに、コトミと変わるのが遅かったため防御が遅れ、少しダメージを受けたようだ

砂煙が完全に晴れ、センナが姿を見せる
「カーナ!体を治せ!」
センナはそう怒鳴った
「まったく、行ったり来たり面倒くさいなぁ・・・・」
女の声、さっきロディアと戦っている本体の方で発せられた声と同じ
「みんなして人使い荒いなぁ・・・」
自分の体の焦げた部分を撫でていくとあっという間に治っていく
「で、誰と変わるの?・・・・うん、わかった」
今度はセンナの手に鞭が現れ、それを軽く振る
「やはり表は良い、自由に体を動かせるのもなんとも言えず快感だ」
男の声、ゴルデックとは違う繊細な感じがする声

「初めまして、我が主の敵よ・・・・私の名前は『フォルテ』、よく記憶しておけ・・・お前を倒す者の名だ!!」

フォルテが鞭を振ると、鞭が蛇のようにキスタに襲い掛かる

できる・・・・・確証は無いが・・・・
いや・・・違う・・・
確証があるからできるんじゃなくて

例え無くてもあると思うからできる!!

キンッ!
キスタが鞭を弾いた
センナは鞭が弾かれたこと自体には驚かなかった
「なっ!」
しかし、キスタの様子を見て驚いた

キスタが両手で持つ2本の剣
それとあわせて、浮んでいる剣が左右2本ずつ計4本
両手の剣と合わせて6本

その6本の剣が、広げられた天使の翼のような錯覚を起こさせる

「馬鹿な・・・・」
センナ本人の声、その声で確かに言った
「『六刃』は使えないはずだ!!」

「ああ、さっきまではな!」

宙に浮ぶ4本の剣が一斉にセンナに襲い掛かる
「ゴルデック!」
そう言うと一瞬でゴルデックに変わり、盾で剣を防いだ
しかし、剣は弾かれても方向を変えまたすぐに攻撃してくる

「キスタばっか良いカッコしちゃってさぁ」
ブラッドはヴァルゲノンを操っていた
「さぁ、クライマックスだ!ヴァル!頼むぞ」
〔了解・・六刃殿、頼みますぞ〕
「あぁ、任せろ」
ヴァルゲノンはさっきよりも早く素早くセンナに突撃して行った
「馬鹿めが!」
ゴルテックは盾でヴァルゲノンの槍を防いだ
〔青二才が!調子に乗るな!ケルシト〕
〔はいはい・・遣りますよ〕
ケルシトがレイピアで斬り刻む
しかしゴルテックには皆無だった
〔はなから私達だけではやろうと思ってはいませんよ〕
「任せろ!」
キスタがゴルテックの後ろに移動し、6つの剣で突き刺した
「ッチ!」

「そんな剣で俺の鎧は砕けねぇぞ?」
「分かっているさ。だが俺も先程とは違う!!」
「!?」
キスタが体内で魔力を高めると、刺さった6本の剣が青く光り始め放電する。その雷は全てゴルテックの鎧に流れ込んだ。
「ーーインドラ・アロー」
『ギャアアアアアアッ!?』
全ての剣の雷が流れ込んだ瞬間、ゴルテックの鎧が吹き飛ぶ。
それは千名の、ミコトの、ゴルテックの、そして全ての人格達の断末魔の悲鳴だった。

ーードサッ。
黒焦げになり、千名が倒れる。しかし息はまだある様だ。
「グ・・カーリー・・治療を」
「させると思ったか?」
ーーグシャ!!
虫の息の千名にトドメを指す様に、ヴァルゲノンが空中でジャンプして大刀で体を真っ二つにする。
「く・・・キスタ・・逃げろ。お前では(あの方)には勝て・・」
最後に己の指名を果たし、人形は粉々に崩れた。


ピクッ
センナが急に何かを感じ取ったようにあさっての方向を向いた
「人形が壊れましたか、まあいいです」

ハァ・・・・ハァ・・・・
ロディアの表情は疲労の色で満ちていた
「痛みだけと言うのも結構な精神的疲労になるでしょう?」
「この程度の痛み・・・・耐えられる・・・・」
そうは言ってもロディアから苦痛の表情は消えない
「嘘おっしゃい、蓄積された痛みはそう簡単に耐えられるものではありませんよ?」
「関係無い・・・・『耐える』と言ったら『耐える』、ただそれだけ・・・・」
弱々しい声、今にも崩れ落ちそうだった
「ジュエンタ、とどめを指しなさい」
センナがそう命じた
「その言葉を待ってた♪」
爪が伸びる、人格がジュエンタに変わったときの特徴
その爪でロディアに襲い掛かる

「全封印・・・・解印!」
そのとき、ロディアが両腕にしていた全ての腕輪が光となって弾け飛んだ

ザクッ!

「チッ!」
ジュエンタが悔しそうに舌打ちをした
彼女の爪はロディアの手のひらに刺さっていた
そして・・・・

ロディアの姿はカンジュやアシュノのそれと同じだった


センナの無数にある人格の中で、エナティは彼にとって特別な存在だった

メルルナは暇していた
彼女はどうやって暇を潰そうか考えていた
ここはセンナの精神世界、つまりは頭の中とも言い替えることもできる
そんな中ではメルルナは一つの人格でしか過ぎず、また彼女もそれを理解していた
この世界の中では人格達は形を持たないため、魂を抽象化した姿である球体の姿をしていた

ここは何も無いけど街と同じ
人がたくさんいるから
センナ本人も、またそこに住む全ての人格たちも、ここに住む人格達全員を覚えてはいない

私達は所詮記憶で構成された擬似生命でしかない
だから忘れられれば・・・・

―――消える

彼が現実逃避のために人格を作り始めたのが11のとき。
もう彼は19だから、最初の段階で作られた私は既に8年ここにいることになる
はっきり言って暇すぎる、他の人格と話をすることもできるけど、話のネタが無いに等しいのですぐに飽きる

ここにあるものは2つだけ
大きな壁と、小さな小屋

壁は人格を2つに分ける文字通り『壁』、壁の向こうには危険な人格が満載だとか

小屋は基本的に立入禁止、なかにはセンナとエナティがいる
センナはエナティにしか心を開いていなかった
当然と言えば当然、唯一自分が心を開ける相手として作り上げたんだから
でも別にセンナはエナティを愛しているとかそういう風ではなかった

そのときには気付いていなかったけど、既にその時点でセンナのエナティに対する感情は異状のものだった
今も言ったように愛していたわけじゃない

ずっと一緒にいたかった、その想いを究極の方法で実現させた

ガチャッ
小屋の扉が開いてエナティが出てきた
「あ、メルルナちゃん!」

くどいようだけどもう一度言おう
エナティは特別だった

それは姿を見ただけで解る

この球体生命だけの世界で、センナ以外でエナティは唯一人の姿をしていた

「エナティ、仕事は終わったの?」
「うん、簡単だった」

このとき既に『センナ』は創始者の使者になっていた
15のときにエルナ様がセンナを引き取ったから当たり前ではあるんだけど
でもセンナは仕事をしない、ほとんど他の人格達に仕事をさせていた

今から約1年前。罪の世界に迷い込んだ人間が力をつけ、5人目の『神』を名乗った時センナはこの計画を主から聞いた。
その頃にはキスタを始め、ロディア、アシュノ、カンジュといった様々な人形が彼の側にいたが、センナはここである事を思い付いた。
この計画で自分を死んだ事にして人形達を競わせ、残った一体を自分の新たな体にする。
そのために『断罪者』は願っても無いカモだった。

そして闘いが始まるとまずカンジュが、そしてアシュノが脱落した。
ロディアを忘れていたセンナは残ったキスタを体候補と決め、彼が強くなるのを待っていたのである。


「私達は・・・私達は貴方の操り人形じゃない!!」
ロディアの片目から涙がこぼれる。彼女は最後の技を使い、センナを道連れにしようとしているのだ。
「人形は人形だよ。それにお前は大事な事を忘れている。ーーここが敵の本拠地だと言う事を」

「えっ・・?」
ーードスッ!!
センナの言葉を聞いた瞬間、何者かの手がロディアの体を貫いた。彼女はセンナを倒す事に集中するあまり、周りを見ていなかったのだ。
貫かれた手の先から血が滴り落ちる。ロディアはその目で自分が致命傷だと言う事を認識した。
『だから言ったろ?覚えてろって?』
「ナン・・バー・・1」
手が引き抜かれ、ロディアが倒れる。
その顔を憎々しげにNo1が踏みつけた。

3つ巴の闘い。 キスタ・ブラッドOvsセンナ(人形)X  ロディアXvsセンナ(本体)O

「なにしてるの?」

ゾクッ
心の底に響くような深く冷たい声

№1は思わずその方向を向いた
しかし、おそらく彼のその行動は間違っていただろう

トスッ

振り向いた№1と誰かがすれ違った
「勝手にメルルナちゃんを殺さないで」

№1は銅像のように静止して動かなくなった

赤い花が咲く

真紅の死の花

つまりは・・・・・血

バタンッ
№1はそのまま倒れた、それによって胸に刺さったナイフが更に深く刺さる
でも最早関係無いだろう

即死

彼は自分がどうなったかも理解せずに、ただの血袋と化した

『センナ』がロディアの胸に手を当てる
「死なせないよメルルナちゃん、絶対に死なせない・・・・」

見る見るうちに傷口が塞がり、ロディアの体に血の気が戻ってくる

「勝手に死ぬなんてこと、許さないんだから・・・・」
その女は笑った
センナではない、センナの姿をした誰か

いや・・・『何か』


「私の事、忘れちゃダメだよ・・・・」

―――メルルナちゃん♪―――
(それ)は満面の笑みを向けた

くどいようだがもう一度言おう
エナティは特別な存在だった、センナにとっても

私、メルルナにとっても


ある日私はこう言った、何気ない一言だった
「ねえ、何でエナティだけ自分の体を持ってるの?」
そこには嫉みなんて物は無く、ただ単純に疑問をぶつけただけだった
勿論、自分だけの体に対して憧れはあった
しかし、それはエナティの前では「ネタミ」と呼べるレベルにまで達していなかった

「欲しいの?」
「え?なにを?」
「この体」
「ううん、その体はエナティの体、欲しいと思っているのは『自分固有』の体だよ」
「ふ~ん」
エナティはは何かを納得するような反応を示したあと、こう切り出した

「じゃあ、メルルナちゃんの体も作ってあげる」

「え?」
当然私は驚いた、その驚きは何に対してなのか今思えばちょっとした疑問になる
「この体は私の能力で作ったものだから、メルルナちゃんの体も作ることは簡単にできると思う」
「そうなの?」
もっと言う事はあっただろうけど、その言葉しか出てこなかった

「じゃあいくよ」
「え?え!?いきなり!?」
「善は急げ♪」

エナティが胸に当てていた手をどけると、そこに白い棒状のものがあった

「なに?こ・・・」
「それ!」
その瞬間私の体が光に包まれた
その眩しさ故に私の目は自然に硬く閉じられ、そしてその目を開けると

「あ・・・・」
いつの間にか用意されていた鏡を見て、一番最初に出てきた感情は戸惑いだった
紛れも無くそこにいるのは自分で、既に球体ではなく、一人少女が鏡の中にいた

「どう?感想は?」

「・・・・・・」
その問いに対して何も答えられなかった
言葉が見つからなかった

「ありがとう」
やっとその一言が出た

バフッ
「キャッ!」
エナティにいきなり頭から何かをかぶせられた

「うん、似合う似合う」
白いローブ、少しサイズは小さめだったけど、そんな事は気にならなかった
「やっぱりその姿で裸はまずいからね♪」
そのエナティの明るい笑顔が輝いて見えた

その体が今の私の姿、カンジュやアシュノはこの体のコピーを使っていた

少女の姿はカムフラージュ、千名が生きていることを知られたくなかった
それと同時に名前を変えた
『ロディア』、どこかの言葉で『幸せの塔』と言う意味らしい、エルナ様につけてもらった
名前を変えたのはもう一つ意味があった

けじめ、と言うのが正しいだろうか?

それは、エナティを諦めるために
唯一の友達で、姉のような存在だったエナティを

さっき確信した

エナティはもういない
センナが体を奪った、それだけで判断材料に足る

それと同時に、『メルルナ』は完全に消えた
代わりに『ロディア』の存在が確定した


「ロディア」
キスタの声で目が覚める
白い部屋、血の跡が床に二つあるだけであとは何も無く、自分たち以外には誰もいない
「大丈夫か?」
心配そうにキスタが尋ねる
「平気です」
ロディアは胸に手を当て、心臓が動いていることを確認する
そこにある血の跡の場所には、肝心の傷が欠片も無かった
「・・・・・」
ロディアがあることに気が付いて、自分の体を確認してみた
そして、少女の姿であることを確認しホッと溜息をついた

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この記事へのコメント

秋葉 時雨
2006年04月28日 01:22
『サヨナラ・・・No1』
少し寂しそうにNo2が動かなくなった少年の体を見つめる。目的も考え方も違う見せかけの仲間だったが、やはり自分の知っている者の死は黒き魔女と言えどあまり気分は良くない。少年の回りを解放された残留思念達が飛び回っていた。
『それは本心かい?No2』
ーーギィィィーーーッ。
白い玉座の間の扉が開けられ、外から黒いローブの男が入って来る。ーーその男とはもちろんナオキである。
白いローブの女と『断罪者』・・・2つの視線が交差した。
秋葉 時雨
2006年04月28日 01:34
「待っていましたよ。ナオキさん」
『ボクもだよ。いよいよ来るべき時が来た様だね?』
白いローブの女とナオキ。2つの力が高まって行くのが分かる。
回りにいたNo2や幻龍、センナ達はそれとなくその場を離れた。
『貰うよ?君のその力!!』
黒き波動を出し、ナオキが向かって行く。白いローブの女が笑っている事も知らずにーーー。

ーーグァアアアアアアアアッ!!
「何?何!?」
悪魔村で眠っていたアリカ達は突然聞こえた音に飛び起きた。
見ると空に巨大なヒビが入り、青空が割れて行く。
そこには驚愕の映像があった。
秋葉 時雨
2006年04月28日 01:49
割れた空の空間に、白いローブの女に体を貫かれたナオキの姿があった。しかも攻撃しているのはローブの女だけでは無くNo2やアルテミス、それにセンナなどもいる。
アリカ達が久しぶりに見た幼馴染みの姿は、血塗れになり口から吐血している物だった。
「嫌ぁっ!!」
「ナオキ・・・!」
アリカが叫び、トモヤが凍りつく。今、彼らは最悪の形で再会を果たしているのだ。
『バカな・・・こんな、こんな事って・・バカなーーー!?』
「まだ気づかないのですか?貴方は私の手の平で踊っていたに過ぎないのです」
秋葉 時雨
2006年04月28日 02:02
白いローブの女がフードの部分を脱ぎ去る。
その素顔はなんと(創始者)!?第一の神エルナだった!!
「ーー全世界の皆さん。ご覧の通り『断罪者』は滅びました!私は5神の一人として皆さんを二度とこの様な恐怖に陥れないために今、宣言します。ーー5神を統一した絶対神としてこの世界に永遠に君臨する事に。そして、絶対神の名の元に(破壊者)を使いもう一つの世界を消滅させる事をお約束します!!」
2006年04月28日 18:49

「馬鹿馬鹿しい」
ミカエルを殺したあと、少年は空の映像を見ながらそう呟いていた
「エルナ様があんなこと言うわけない、理由も無い
 第一僕がここにいる時点で変な話だ、使者である僕達を集結させてからの方が断然効率がいいし、キスタ達に希望達を守らせるのも変だ、それにこんな風に宣言する意味も無いし、
大体・・・」

少年は空をもう一度見る

「そんなことするつもりなら、あの人ならとっくにこの『銀界』は消せてる」

少年の表情が変わる

「冗談にしたって出来が悪すぎる・・・・これは嘘だとバレる事を想定してやってるな」


「随分派手にやってきましたね」
空の映像を見てロディアが呟いた
「あれは誰だと思う?」
「周りを見てください、リアニースがいます
 偽者にしたって相当の実力者のようですね」
「でも、何でだ・・・・」
「はい、確かにおかしいです」

『じゃあ、本物のエルナ様はどこに?』
二人の声が重なった


「うわ~、なんかすごいことになってるね~」
「ハクス、そんな呑気に言っている場合ではありません!」
2006年04月28日 19:08
「でもさ~、あんなのに騙されるのなんて一般民衆ぐらいじゃん?ならたいしたこと無いんじゃない?」
ハクスが間の抜けた声で言った
「確かにそうですが・・・・」
反してティンクは深刻そうな表情を浮かべていた
「カタストロフィーの方だって、『現界』に干渉することに使われるぐらいなら運命達だって壊す事を選ぶと思うから、今までの状況とさして変わりはしないでしょ」
「・・・・・」
ティンクはすごく驚いていた
「どしたの?」
「いえ、今まであなたのことをどうしようも無いチャランポラン程度にしか考えていなかったので、驚いているんです」
ビシッ
ハクスのチョップがティンクの額に命中
「イタッ!」
「酷いってそれは・・・・」
「ごめんなさい・・・・」

「でもわざわざエルナ様に化けたって事は、な~にか企んでるんだよね・・・・」
「例えば?」
「エルナ様に恨みを持っているとか、創始者の座を狙っているとか」
「アバウトすぎますね・・・」
「情報が少なすぎんのよ・・・・」
2006年04月28日 19:18
ハクスが部屋のパソコンの前に座る
「あの映像の場所はタウレノス聖殿」
「!、何で判るの?」
「あの床の模様を見たことがある、多分故意的に映したんだと思う」
「罠?」
「かもね、早い人ならもう向かってると思うよ」
カタカタカタ・・・・・
ハクスが圧倒的なスピードで何かを打ち込んでいく
「何をしてるの?」
「あの辺は確か特殊な空間プログラムが使われてたはず、それに侵入して書き換えれば空間圧縮で一気に殲滅できるよ」
「え?」
「でも・・・・」
ピーーーーー!!
画面に「ERROR」といくつも表示される
「やっぱし切られてる、敵も馬鹿じゃないか・・・・」
カタカタカタ・・・・・

「繋ぎ直してみる、期待はしないで」
「うんわかった、あとはお願い」
「え?何を・・・ってもういないし」

今コンタクトがとれる神はレクシアン様だけ・・・・
ザルガン様もキリフィア様同様に行方不明だって言うし、
あとはアルファがうまくやってくれれば
2006年04月30日 15:10

ドスッ
「ぐあっ!」
トンファーがトモヤの腹に突き刺さる
ガンッ!ガンッ!
連続で脇腹に蹴りを叩き込まれる

ヒュッ
(右!)
キィンッ!
トンファーでの攻撃を槍で防ぐ

「やっと一回反応できましたか」
その女は呆れたようにトモヤに言った
「誰だよあんたは!?」
グゥッ!
防いだトンファーが槍を押し始める
(なんつーパワーだよ・・・・)
力で勝てないことを理解し、女と距離を取る

「なっ!!」
距離を取った瞬間、女のトンファーが既に目の前に振り下ろされていた
(速・・・)
ドゴッ!
トモヤがそう思う前に攻撃が当たった

「がぁっ!!」
肩に激痛が走る
おそらく骨を砕かれたのだろう

やべえ・・・・こいつ次元が違う・・・・
特に派手な技を使ってきたわけでもないけど、それでもわかる
こいつからは殺気も覇気も感じない、だからこそ恐ろしい!
完全な『無情』、無駄がなく、パワーにスピード、どれをとっても勝てる気がしない
逃げることも無理だ

でも・・・・・殺される気がしない・・・・
なんでだ・・・・?
2006年05月01日 01:46
薄暗い部屋・・・
「くそぉ・・・はぁ、はぁ、あの野郎・・・裏切りやがって・・・!」
苦しそうに胸を押さえ入ってきた男・・・ナオキである。
ナオキは崩れるように、ソファーに深く座り込む。

『また随分遣られましたね』
「!?」
部屋の角にいた少女。

「・・・創始!・・・何の様だ・・・・・・貴様は俺達に干渉しないんじゃなかったのか?・・・はぁ、はぁ」
『事情が変わってきたのよ?』
「・・・俺を・・・消すのか?・・・あの偽者みたいに・・・」

『ん~、そうしたい所だけど・・・貴方には、生きて貰わなければいけないわ』
「?」
正宗
2006年05月01日 19:58
飛空艇が揺れる
「おい!ドミス!やばいって」
「うっさいわぁ!今調べとうわ」
ドミスの訛りがあたりに響く
「ふぅ、フライト許可は出ているから、以上は無いが近い内になくなるかもな」
「どういう事だぃ?」
「ん?見てみろコレ」
ソウバスがパソコンを指差す
「今、フライト許可が出てるが、一時間後にはフライト許可が少し危ういグラフになってやがるだろ?」
「本当だ、ヤバイねぇ」
「あぁ、フライト許可は14時間単位で更新されるけど、この状態だと更新時間が早くなる」
「あのお空の件かぃ?」
「だろうな、事故でもされて被害が出ると向こうも困るからな」
「なるほどねぇ」

2006年05月03日 02:59

数分前まで、トモヤ、コウスケ、パルス、シルクの四人は
風の船『スキーズブラズニル』を探していた

そこは罠が張り巡らされた迷宮、気を抜けば一瞬で肉塊へと変貌を遂げる
しかし、この四人はそんな罠をものともしなかった

『悠久の白巫女』シルクがいたからだ
彼女は最高クラスの探知能力を持っている
それゆえ彼女にしかできないことも存在した

例えば『同物質の判別』がそれにあたる

それがどういう意味かというと、質量、形状、大きさなどが完全に等しい二枚のコインがあったとする
『完全に』同じなのだから、科学者があらゆる機械を使い、膨大な時間をかけても、結局『コインAが二枚』と判断するしかない
しかし、彼女にかかれば『異なるコインAとB』と判断する
その二枚をどんなにシャッフルしてもAだけを当て続けられるし、同条件で百枚に増やそうとも結果は変わらない

ここで何が言いたいか、
つまり彼女がいれば罠に掛かるはずもない!!

はずだった・・・・

しかしトモヤは罠に掛かり他の三人とはぐれてしまった
2006年05月03日 03:20
決してシルクが罠を見逃したわけではなく、トモヤが勝手に掛かってしまったのだ

はぐれただけ、というのは考え方によってはかなり幸運な方だろう
下手すれば肉塊になって肉食鼠に食われていくところだった

「いってえええ!!」
トモヤは頭にできたたんこぶを摩りながら瓦礫の中から立ち上がる
「あぶねえ、槍で勢い殺さなきゃ死んでたぞ、この高さなら・・・・」
と呟いて自分がさっきまでいた上方を見て、ブルッと体を振るわせた

コツンッ
(足音!)

トモヤは咄嗟に槍を構える
足音の主が段々と闇から浮かび上がってくる
(女か・・・)
「私が殺す気なら、あなたはもうミンチですよ」
それが開戦の合図だった
ドスッ
「ぐあっ!」

現在に到る

肩の骨を砕かれた痛みで体中が震える

明らかに手加減してる感じだな、それなのにこのパワーかよ・・・
さっきの言葉は本当だな
もしこいつが俺を殺す気なら、何が起こったかもわからないうちに俺は死んでた
殺す気がないなら何故攻撃してくる?

「『誰だよあんたは!?』」
女が結っていた髪を解き、長い髪が広がる
2006年05月03日 03:55
「さっきそう訊かれましたので、早めに答えておきましょう」
髪を結っていたのは戦闘中邪魔にならない様にだと推測できる
それを解いたと言うことは、これ以上戦う意思がないことを相手に示していた
トモヤもそれを理解したのか、緊張を解いた

「私の名前はレクシアン、あなたに力を与えた先導者です」

「な!!」

====================
送信者:先導者

刻は来る・青を示せ
====================

見せる必要がないと判断し、誰にも見せなかったメール
だが確かにトモヤにも届けられていた

「先導者・・・・神」
「少しお話があります」
「俺を傷つけて何が神だよ」
「必要があったので試しただけです、不服ですか?」
「当たり前だ!!」

トモヤがレクシアンに向かって怒鳴る

「お前等はいつもそうだ・・・・俺達が必死で何かしてるときだって、全く助けてくれなかった・・・・」
「あなた方に経験を積ませるのも大切なことです」
2006年05月03日 04:01
こいつ・・・・わかった、俺がさっきこいつから何も感じなかったわけが・・・・
こいつまるで機械だ
単に損得でしか勘定ができない、俺が最も嫌いなタイプだ

「お話があります、ついてきてください」
「『嫌だ』、と言ったら」
トモヤが挑発的にレクシアンに言った
「その肩、治しにくいように一定の角度で打撃をくわえました
ついてくれば早期治療ができます、時間が経つと切断するしかないですよ
来ないのはあなたの自由ですが、腕一本犠牲にしてまで拒否する意味は無いと思いますよ?」
(こいつ・・・・)
「全部計算済みか」
「この程度計算とは言いません」
レクシアンは軽く笑った
「まあ、それぐらい狡賢くなくちゃ神なんか勤まらねぇのかもしれないけどな」

トモヤは睨みながらレクシアンに近づく
「覚えとけ、俺はあんたが嫌いだ」
「ええ、構いません」

足元に魔法陣が描かれ、二人は音もなく消えていった
正宗
2006年05月03日 12:41
レクシアンがトモヤを連れてきた場所はカオスリヴァンといわれる場所だった
「何だよ此処?」
「カオスリヴァン、闇の者が住む場所です」
「此処で何をするんだよ」
「先程言ったでしょう、お話ですよ」
レクシアンは中央にある噴水に近づいていった
噴水はレクシアンが近づくと、急に水を大きく噴出した
「フフフ、お久しぶりですね、ヴァロム」
噴水の水が地面にしたたり、その水が人の形に変わった
恐らくヴァロムとはこの者の事だろう
「きつかったな、あの噴水の中は」
ヴァロムと言われた男は奇妙だった
顔は龍であるが、体は規則正しい人間だった
「半竜か?」
トモヤがヴァロムに聞いた
「お?知ってるのか小童、そうだ俺は半竜だ」
ヴァロムはトモヤの肩をポンっと叩いた
「で、話って?」
「レクシアン、説明してやってくれ」
「はい」
ヴァロムはベンチにどかっと座り、レクシアンとトモヤの会話を見ていた
ヴァロムの武器は背中の大きな十字架のような剣だった
銀箔で美しい飾りが施してある
他にも、腰には十字架よりは小さいが大剣が腰に1本ずつ収められていた
正宗
2006年05月03日 12:52
「まず、貴方に新しい力を与えなければなりません」
「新しい力?」
「はい、人間や神は皆、能力を携えています、しかし能力は1個だけとは限りません、例えばあの有名な魔将ナイトメアは7個の能力を持っています」
「7個!スゲェな」
「特に、あの国を守る騎士団は皆5個以上能力を持っています」
「っでもそれだけも必要なのか?」
「必要だから携えているのです」
トモヤは軽くうなずき、またレクシアンの話を聴いていた
3時間ぐらいはなしていたのだろうかヴァロムはすっかり眠ってしまい、レクシアンもお茶を飲んでいた
「なぁ、アンタさぁ神に就けたときどう思った?」
「そうですね、うれしかったですね」
「ふうん、あのヴァ・・・何とかも神なの?」
「いいえ、元神です」
「元?」
「あの者は脱神です、ようするに神であったけど途中で許可もなしに抜け出したのです」
「殺さなくていいのか?」
「本当はそうしなければなりませんが・・・」
「好きなのか?」
「ち、違います」
2006年05月03日 14:30
「ヴァロムは、私の元部下で・・・能力の高さを・・・・・・だから・・・」
「・・・ぷっ」
レクシアンの意外な取乱し様にトモヤは思わず吹き出す。
「な、何です?」
「いや、神でも恋愛感情があるんだな~って」

「恋・・・愛・・・・・・ああ、人間が時折見せる奇妙な反応ですか・・・・・・って、私はそんな下等な・・・!!」
「ははっ、わかったわかった」
(は~、何なの・・・何故私がこの子のペースに・・・)
2006年05月03日 23:28
「レクシアン様」
突然トモヤの背後から声がした
「アルファ、ちょうど良かった」
ポンッと手を叩き、笑顔を作る
反面アルファはその様子に呆れたような表情を浮かべ、立ったまま腕を組み、二人を見下すようなかたちとなった
「レクシアン様、急に居なくなった事は見つかったのでこの際置いておきましょう」
「まあ、助かるわ♪」
さっきまでの機械のような対応とは打って変わって、アルファの反応を楽しんでいる子供のような素振りを見せる
「しかし、何でこんな危険な場所に・・・・それも希望を連れまわすなど・・・・」
ハァ、と大きく溜息をついた
「こんなときに何を考えているのですか?」

「こんなときだからこそよ」
再度レクシアンの声が冷たい機械のような声に変わる
「今から対応しないと間に合わないでしょ?」
「それでもまだ早急すぎると思いますが」

「アルファ」
ビクッ
名前を呼ばれてアルファの体が震えた
「トモヤさん、『石橋を叩いて渡る』という言葉の意味を教えてあげてください」
「へ?」
そう言ってまたティーカップに口をつけた
2006年05月03日 23:43
「レクシアン様、あまり子供扱いしないで下さい、その程度の言葉の意味など、とうに理解しています」
ずれた眼鏡を直しながらそう言った
「子供・・・か、そうですね・・・・」
ティーカップをテーブルに置きながら淋しそうと思わせる眼を一瞬した
「でも、あなたはいつまで経っても私の娘のようなものですから」
「そんなことを言っているからいつもラトアが不機嫌なんですよ」
「お願い、ラトアの事は口に出さないで」
「すいません・・・・」
(ラトア?)
疑問に思ったが二人の反応を見てトモヤは訊かなかった

「話を戻しますが、つまりは早めに備えておく必要があるということです」
「ですからまだ早急すぎると言っているのです!
 何故私に言わなかったのですか?
 この程度の用事なら危険を冒してまであなたがやる必要は無いじゃないですか!?」
アルファの感情が昂ぶり、周りの空気が呼応して熱を含む
2006年05月03日 23:54

「自分の口で伝えたかったのよ、どうしても」

レクシアンが俯き、言った

「あなたは先導者なんです!
 神なんです!
 銀界全てを背負って立つ者なんです
 我侭で危険を冒してはいけ・・んです・・・
 ・・・・が・・は・・・・です・・・・」
段々とアルファの声は小さくなり、最後の方は聞き取ることができなかった
アルファも俯き、今にも泣き出しそうな表情を前髪で隠していた


トモヤはその場に居づらくなり、席を立った
二人はそのことに気付いていたようだったが
何も言わなかった
言えなかったのかもしれない

(いつの間にか肩治ってるし)
砕かれたはずの肩をぐるぐると回しながら、外を適当に散歩していた

『ヤァ!』

「ん?」
微かに人の声が聞こえた

『タァ!トリャァ!』

内容から察するに何かの掛け声のようだ
(なんかの練習か?行ってみるか・・・・)
暇だったのでそういう結論に到った

「ヤァ!」
ストンッ
「!!」
トモヤは驚いた
そこに居た少年は、一太刀で大木を3本、同時に断った
2006年05月04日 18:52
「すげぇ・・・」
思わずトモヤはそう呟いた
「??」
その声を聞いて少年がトモヤの存在に気付く

「トモヤ・・・・」
「え?」
少年は確かにそう呟いた
「青の希望のトモヤ、だろ?レクシアンから聞いたよ」
「え・・・?ああ、多分」
「多分って、ハッキリしねえなぁ・・・・」

少年は一瞬見ただけでは男か女かわからないだろう
そう思わせる顔立ちと華奢な体つきをしていた
そんな体だからこそトモヤは驚いていた

(よく考えたら驚くようなことでもないのか?)
「折角希望が見にきてるんだ、面白いモンみ見してやるよ」
そう言って、剣を何もない方向に逆手に構える
「あの岩見てろ」
「岩?」
おそらく遠くの方に見える巨大な岩のことを言っているのだろう
(まさか、壊す気か?あんな離れた岩を?)
少年の様子を見る限りそのようだった

一歩踏み出し、そして
「トリガーブレイク!!」
思いっきり剣を振った

・・・・・
・・・

「何も起き・・」
ドゴォォォン!!
「なっ!」
時間差で岩が粉々に砕け散った

「何が・・・・起きた?」
2006年05月04日 19:37
少年はトモヤの様子を見て満足そうに剣を鞘に収めた
「レクシアンが言っていた通りだ、『キホウ』を見るのは初めてだろ?」
「キホウ?」
「鬼の法と書いて『鬼法』だ、鬼の使う術だ」
「じゃあ、お前は鬼なのか?」
智也は当然そう思い疑問をぶつけてみた
「いや、俺は鬼では無い」
そう言うと、剣を鞘から抜いた
「この剣は『映し鏡の宝剣』と言ってな、刃に持つ者の心を表すんだ」
トモヤが鏡のように磨かれた剣身を覗き込んだ
すると、そこにそれぞれ異なった色をした七つの紋章が浮かび上がってくる

「これはその者が持つ力を表している」
「ん?」

「白の輪の紋章が天使の印
 黒の蛇の紋章が悪魔の印
 赤の棘の紋章が鬼の印
 青の十字の紋章が刻人の印
 緑の螺旋の紋章が風霊の印 
 銀の太陽の紋章が龍の印
 金の星の紋章が神の印」
その話はトモヤにはよく理解できなかった

「つまり、その全部の血が俺の中に流れてるんだよ」
「なっ!」
その言葉の重大さはトモヤにもわかった

「ココノカ」
「え?」
「言ってなかったな、俺の名前だ」
正宗
2006年05月05日 23:18
「ココノカ、今、鬼と連絡が入ったぞ」
「じゃぁ兄貴が帰ってくるのか?」
ヴァロムがココノカに向かって大きく頷いた
「兄貴?」
トモヤはクビをかしげ、二人を見比べた
「ココノカには鬼の部隊に兄がいるんだ、名はバソウ」
「じゃぁ、やっぱりココノカは鬼なんじゃん」
「いんや、鬼とはこの世界の戦闘部隊の名前であって、けっして種族ではないんだよ」
ヴァロムはトモヤの肩をポンとたたいた
「っそれより、ひとつ質問」
「何だ?」
「何でさ、ナンバーズと鬼は敵対してんの?」
「え?」
ココノカの顔が真っ青になった
「トモヤ、その話、本当なのか?」
ヴァロムは驚きを隠せない用だった
「俺、何か不味い事言った?」
「鬼がナンバーズなんかと戦ったら、一気に銀界は滅ぶぜ・・・・」
ココノカが言った
「はぁ?何で?」
2006年05月06日 19:42
「これか?」
「うん そう」
パルスは手を伸ばし、女神像の首の首飾りをとった
「これがスキーズブラズニルか、シルクがいたからあっさり手に入ったな」

トンッ
「うわ!」
コウスケは突然シルクに背中を押された
「ほら、コウスケ!」
パルスがその首飾りをコウスケに向かって投げた
「うわ!」
パシッ
急に投げられたので慌てながらもそれをキャッチする
「十二王具の一つ、風の船『スキーズブラズニル』
 特性は・・・・ってそれはあとでいいか」
「何で俺に?」
「コウスケ 風、それ 風、波長 合う」
「いや、わけわからねぇし・・・・」
「とりあえずお前が持ってて必要なときに使えば良いんだよ」
「そうか・・・・」
渋々納得した

「そもそも『十二王具』ってなんなんだよ?」
「あ~、そういやロディアが説明端折ったんだっけ・・・・
シルク、説明し・・・・って俺がしないとわかりにくいか・・・・」

コホンッ
パルスは大袈裟に咳払いをしてから説明を始めた
2006年05月09日 00:58
「聖剣『コールブランド』
烈火の剣『レーヴァテイン』
破魔の腕輪『ドラウプニル』
幻樹の剣『ミスティルティン』
銀華剣『デュランダル』
雷槌『ミョルニル』
水晶剣『グラム』
風の船『スキーズブラズニル』
黒魔槍『グングニル』
空の心『エリィンフィート』
咎爪『ゴドリガ』
神双剣『赤のヴェルト』『青のヴェルト』

これら十二種十三個の法具を十二王具って言うんだ
まあ、様々な伝説にに出てきて秘められた強大な力によって魔王を倒したりとかするわけだよ、ここまでわかったか?」
「なんとなく」
「これは現界の伝説上の武器を元にしたって言われてるんだが、聞いたこと無いか?」
「まあ、グングニルとかデュランダルっていうのはゲームとかで聞いたことあるような」
「これが不思議なことに存在が確認されたのはつい5年前なんだよ、文献とかには360年前から載ってるのに」
「ただ単に見つからなかっただけじゃないのか?」
「馬鹿言え、今だってスキーズブラズニルを簡単に発見した、このシルクも捜索隊の中にいたんだぞ」
2006年05月09日 01:12
「でも、存在が確認されたって言ってるのに、何でこんなところにあるんだ?」
「それは諸事情があるんだよ、簡単に言うと奪われたんだがな」
「へ?」
「この5年間で十二王具が全て一箇所に集まったことが3回あるんだが、そのいずれのときもある日忽然と消えてたんだとよ、そんなことがあったもんだから十二王具は一箇所に集めちゃいけないって事になって、
様々な世界で保管されてたんだ、そのスキーズブラズニルはそこから盗まれたものだろう」
「なるほど・・・・」

話が終わったのを確認し、何かをしていたシルクがパルスの元に歩み寄った
「パルス、ここ トモヤ いない」
「そうか」
結果を予想していたかのようにパルスは軽く頷いた
「おい!どーすんだよ!!」
「がなるな、おそらく無事だ」
その言葉に同調するようにシルクが頷く

「トモヤ、敵 見つかった、でも 私 死ぬ わかる」
「つまりだな、トモヤが死んだらこいつが気付くって事だ」
仲介するようにパルスが述べる
「・・・・」
コウスケは何も言えなくなった

「じゃあ、帰るか」
コクッ
「わかったよ・・・・」
正宗
2006年05月09日 20:35
「フライト許可が撤回されたな」
「!?」
ドミスが冷や汗をかいた
「厄介だねぇ、全く」
ガノンがキセルを吹きながらニヤついた
「わらっとる場合じゃなかとね!いきなりドカンもありえるぜよ」
ドミスの口調は慌しかった
「ドミス、落ち着け」
「そげんな事、いったかて・・・・」
アルテマは呆れてドミスの方を叩いた
「落ち着けと言っただろう、何度も言わせるな」
そういうとアルテマは部屋に戻った
飛空挺には12の部屋があり、どれも物置や個人部屋に使われていた
「ッチ!アルテマの野郎、うっといんじゃ!」
「ドミスぅ、アルテマだって結構焦ってるんだって、大目に見てやってよ」
バソウが軽い口調で言った
「それより、ベリアルは?まだ爆睡中?」
「ん?あいつは相棒の手入れしてたぜ」
「相棒・・・あぁ、バサラか、僕もしておくかな」
「羽根芳野宗咲・飛角ノ片 だろ?名刀中の名刀じゃん」
「だけど、手入れしないとタダのカミクズさ」
「そこまで成り下がるか?」
正宗
2006年05月09日 20:55
羽根芳野宗咲・飛角ノ片
鍛冶師、カルバン・ヘイクスが打ったとされる物
原型は刀匠・柴谷減最である
他と違い、刀身が長く、柄長い
それだけ見ると、刀匠・正和博文の長柄和泉・日輪ノ日之出に似ているがそうでもない
刃には赤い紋様刃がなっており、峰は白い
いまでは全く流通していないのでバソウだけが所持している

名刀・10作
銀界のどこかに散らばっている名刀を紹介する

風魔二ノ太刀・赤磨堵呂
屍・三千
大垣蓮木乃打刀・鱒待
羽根芳野宗咲・飛角ノ片
千本桜白影・白夜月光圀
夜叉雪野・重徳
黒龍覇源乃亦国・弐乃太刀
黒龍覇源乃亦国・参乃太刀
車狩戦蕪・桃
神楽戦舞・馬裟羅戦翼・黒金乃舞
これらの10刀は全て銀界にある
しかし、マダマダあるかもしれぬ故、さがしていただいたい
11刀になりそうなのは
藤雪乃松道・逝須煮蓑
だろう、しかしマダ詳細はつかめない 

                刀乱書―58P―
2006年05月10日 22:59
――???界・廃墟――
建物は崩れ、人はなく、異常なほど張り巡らされた電線の存在感のみある町
鼠の巨大な巣となっているため、それを糧にするカラスが自然と集まってくる
張り巡らされた電線にとまる無数のカラスの黒い影
町の中心、そこだけは避けるようにカラスの影はなく、代わりに二回り大きな影があった

少女・・・・

その場にそぐわぬ綺麗な白いドレス、顔を隠すようにつけられたベール
まるでウェディングドレスのような衣装
そんな格好をしながら、その少女の存在感は無く
代わりにカラス達を寄せ付けない『何か』があった

「またこんなところにいたんですか?」
少女の隣の電線上に赤いフードの者が現れる
中性的な声をしているので性別はわからない

『・・・・・』
その者の問いに少女は何も答えない
「もう始まりましたよ」
『・・・・・』
やはり何も答えない
「何でこんな場所なんですか?」
そいつは尋ねた、おそらく答えは期待していない

『好き・・・・だから』
2006年05月10日 23:09
「え?」
『何も無くて・・・・みんなに忘れられてて・・・・』
少女の声は儚く消えそうで、全く透明な声

『まるで私みたい・・・・』
「・・・・・」
『だから好き、この世界と似てる』
「・・・・・」
『あなたはどう、「WALD」?』
「私は・・・・何も感じません」
『そう・・・・』
少女は少し落胆したような声を出した

「そろそろ行きましょうか、『AURE』様」
そう聞いた瞬間、少女の姿は消えていた

私は・・・・何もしない・・・・
ただ、少しの楽しみを・・・・
ゲームスタート・・・・



――リンテオン界・悪魔の村周辺の森――
ヒュッ、ドスッ!
「・・・・・」
マユミは自分の胸に刺さったナイフを見つめる
そしてそれを掴み、一気に引き抜く
引き抜いても血はほとんど出なく、抜いた瞬間に傷が治っている
「正体不明・・・・」
エレノアは数本のナイフを手に持ったままマユミに近づく
「結局あなたの正体は謎です」
「やっぱり・・・」
「悪魔、鬼、グレムリン、霊などなど・・・・全部該当無しです」
エレノアが淡々と説明する
正宗
2006年05月12日 10:13
「悪魔の場合でも苦痛はあるし、グレムリン、霊でも同じ事です」
「・・・・」
「しかし、鬼の場合はある程度の攻撃は無効にできます、しかし貴方には鬼としての戦歴もないし、目印の刺青もない」
「じゃぁ」
「そう、あなたは今の場合は『アンノウン』という形ですね」
「アンノウン・・」
マユミは一人うずくまった、信じられないのだろうか、悲しいのだろうか誰にも事情は分からないが泣いているのは確かだった、おえつがこぼれ部屋に嫌な雰囲気が漂った
エレノアはマユミを一人にさせた、部屋の前ではキスタが壁にもたれていた
「何のようです?」
「一人にさせといて良いのか?」
「それが今は最善の策です」
「フン、とてもそうには思えんがな」
キスタは歩き出し、そして止まった
「エレノア、俺はマユミが鬼だろうと霊だろうと仲間として接する、アイツが襲ってこない限りな」
「フフ、それは私も同じことです」


正宗
2006年05月12日 10:22
「非常にクサイ台詞だな」
「ブラッドか、見てたのか?」
「いや、たまたま通りかかったダケだ」
「そうか、嘘が下手になったな」
「ッチ、アンタには嘘は通じねぇか」
ブラッドはキスタと横に並び耳元で言葉を発した
「な!?」
キスタの顔が急に豹変した、、目が大きく見開き、冷や汗をかいている
「どういう事だ!お前」
「さっき言った通りだ、俺のモンはそう長くはねぇ」
「センナの時か?」
「あぁ、マンシーを使い過ぎた」
「じゃぁ、お前はどうするんだ?今から・・何もしないで・・・死ぬのか?」
「ん?そうだなぁ、最後に桜でも見て死ぬかね」
「・・・・2ヶ月しかないのに、春がくるかヴォケ」
「フン、それもそうだな、じゃぁ昼寝でもしてねるかな」
ブラッドは小さく笑いながら通路を去っていった
キスタは泣きはしなかった、が、やはり信じられないような表情をうかばしていた
マユミの正体、鬼の行動、ヴァロム、ブラッドの余命、全てが一気に空のヒビと同時に押し寄せてきた
通路を去るときのブラッドは口から血をだしていた
「ッチ、2ヶ月だろが、早まるなって」
正宗
2006年05月12日 10:33
ゲホ、ゴホ、ゲホ、グホ
大きな咳が通路に響き渡る
「クソがぁぁ!」
ブラッドが口の周りを真っ赤にしながら喚いた
目からも赤い血が流れ出した
「2ヶ月だろうが!俺はマダ・・・まだ死ねないんだよ!オイ!俺の体だろうが・・・・とまれよ血!」
ブラッドは混乱に地面にひざをついた、通路には血がポトポトと音を鳴らして落ちていた
「落ち着きなさい、ブラッド」
ブラッドの目には白いローブの女が立っていた
「て、てめぇ、何の用だ!」
「貴方に死なれては、私達も困ります」
「誰だって聞いてんだ!質問に答えろ!」
ブラッドは口から大量の血を吐きながら怒鳴った
「やめなさい!」
ローブの女はブラッドをとめた
「貴方は私達の同士です、同士を今、減らすわけにはいききません」
「触るな!殺すぞ!」
女の手を払い、ブラッドはケルシトを呼び出した
「な・・・ブラッド、貴方死にますよ!?」
「うっさい!黙れ!姉貴には関係ない!」
「姉貴!」
キスタの剣がガラーンと音を鳴らし、床に叩きつけられた
「キスタですね、貴方には用はありません、消えなさい!」
2006年05月13日 03:37
「ローアインガルド」
「!!」
エレノアの言葉に咄嗟に反応し、女はその場から離れた
女が離れた瞬間、その場所に大量の矢が降り注いだ
「グリモア・・・・一体何者?」
「コードキャンセル」
『了解』
エレノアはグリモアを開いたまま女に接近する
「アルセットエッジ」
「ちっ!」
女は地面を蹴り後方に逃げる
ヒュンッ!
風を斬る音が微かに聞こえた
エレノアはその瞬間に女と間合いを詰め、左手に持った剣を振るう
キンッ!
女が咄嗟に出した剣で防御する
「クラッシュレイル」
エレノアの剣が淡い緑色の光を放つ
ビキッ
女の剣にひびが入る
その瞬間、女はエレノアの右に回りこみ、新たな剣で攻撃する
「テイクバースト」
「!!」
ビュオオオオオオオオオオオオ!!
エレノアがそう唱えると、グリモアがブラックホールのように周りのものを吸い込む
「厄介な・・・・」
正宗
2006年05月13日 12:30
女が剣を囮にし、ブラックホールから逃げ出す、エレノアはニヤット笑みを浮かべ
「デメンションペイン」
っと唱えた
「フフ・・・・隙だらけ」
女はエレノアの後ろに立っており、首を絞める
エレノアの顔がゆがんでくる
「貴様!手を離せ!」
キスタが一本、剣を投げた 女はエレノアを盾にした
(しまった!)
その瞬間、ケルシトがエレノア横に投げ飛ばし、女の顔を切り裂いた
「っ・・あ」
女は血だらけの顔をローブでふき取り、ブラッドを見つめた
「させるか!」
キスタが女目掛けて二本目を投げる
「甘い!」
女は剣でキスタの剣をはじいた、しかし弾いた剣の後ろにはもう一本剣があった
(同じ軌道の・・・)
グサ
剣が女の腕に刺さった
正宗
2006年05月13日 12:42
「はぁ、はぁ、」
女の息は荒く、右腕、額から血がポトポト落ちていた
ブラッドは相変わらず咳をしており、口を抑えていた手は血で染まっていた
通路は血の鉄臭いニオイがしていて、床は赤い斑点が広がっていた
「ブラッド、私達の元に来れば貴方のリバウンドも直せるわ」
「銀界破壊に手伝うぐらいだったら、直さないで死んだほうがマシだボケ」
「相変わらず、頑固ね ケド口は慎んだ方がいいのでは?」
女がニヤッと笑い、ブラッドの腹を殴った
「ケ!こんなモンかよ!姉貴、てめぇ弱くなったな」
ブラッドは指を鳴らし
「出番だ!ヴケルイス!」
中ぐらいの魔龍が姿を現した、龍でも二足歩行で、体はスマートだった。極端にいうと人間に近かった
背中は45度ほど曲がってはいるが立っている姿は完全に人間のようだった
「ヴケルイス・・・そこまでするの?」
「あぁ?テメェが喧嘩・・ブホ!」
ブラッドが急に咳を出した
エレノアはキスタと顔を見回しキスタがブラッドを担ぎ医療室に向かった
「貴方が私の相手?」
「えぇ、エレノアよ、貴方を殺す相手の名前だから良く覚えておいてください」
2006年05月14日 16:11

力の差は圧倒的だった

「トーションクラン」
女は咄嗟にその場から離れようとする
しかし、立ち上がる力が足りず、その場に膝をつく

バキッ!ベキッ!ボキッ!

「ぐあああああああああああ!!」
女の右腕が『捻れる』という表現が正しいほどに折れ曲がる
折れた骨が皮膚を突き破り、骨の中からドロドロした液体が流れ出てくる

「まだやりますか?最早痛みが痛みでなくなっているはずですが」
「何でだ・・・・なんで出てこない・・・・」
女は残った左腕で何とか自分の体を支えながらエレノアをキッと睨む
「ヴケルイス!ロートハイン!クラシュエル!」
女がいくら叫ぼうとも何も変わらない
「なんでだ・・・・」
「『ハイントア』って知っていますか?」
エレノアが女を見下しながらそう言った
「特殊な霊法で、意味は『多重負荷』、つまり相手の使った術に何度も負荷をを掛ける事によって相手の力を一気に削ぐ、という術です」
「なに・・・・」
2006年05月14日 16:47
「この術を使う条件としては、対象となる術が召喚系、あるいは具現化系でなくてはいけないんです
対象がすぐに消えてしまっては負荷をかけられませんからね
その点あなたの術は召喚系であって、更に自動消耗の術ですから負荷を掛けても気付きません、まさにうってつけなんですよ」

(油断した・・・・こんな術を使う奴がいるなんて)
「さて・・・・」
パタンッ
エレノアはグリモアを閉じ、剣を構える
「何か言い残すことはありますか?」
そう言って女の首に剣を突きつけた


「ココノカ・・・・俺をどこに連れて行くんだよ?」
トモヤはココノカの後ろを歩きながら訊いた
「それに、鬼とナンバーズが戦ったら銀界が滅ぶって」
「黙ってついて来い・・・・」
威圧感を持った声、それによってトモヤは何も訊けなくなった
「ここだ」
到着したそこは、一軒の小屋だった
「ここになにがあるんだ?」
「歴史を知る者、『伝道師』アレッサだ」
「伝道師・・・・」
「言葉には気をつけろ、彼女の機嫌を損ねたら消されるぞ」
「うえ゛・・・」
正宗
2006年05月14日 23:05
「暇だねぃ」
「もう少しの辛抱だろうが、そしたらカワイイ弟に会えるだろ」
「うーん、ココノカ元気にしてっかなぁ」
「大丈夫だろう、あの年で宝剣を使いこなすんだ、早々遣られはしないさ」
「どうかのぉ、ナンボ強いちゅうてもマダ十と四じゃけん、まだ身体も成長しきっちょらんし、身の危険はあるだれよ」
「おいおいドミス、ここは慰めてくれよ」
「真実を言うた方が、後々後悔せんでええ」

「アレッサさん」
目の前には美しい美女が椅子に座っていた
(うわぉ)
トモヤは少し興奮気味だった
「そこの坊や、私を見ていま興奮したでしょう?」
「!?」
トモヤは一気に興奮から驚きに感情が乗り移った
ズバリと自分の気持ちを言い当てられたからである
「これが、アレッサさんの能力だ、相手の心理を完璧に読み通す事ができる」
ココノカは自慢げに言った
「まぁ、いいわ座りなさい」
(おい、本当に消されるのか?そんな雰囲気じゃぁ)
「坊や、ココノカだけに話すのはずるいわ、それに私はそんまアクドイ真似はしない、でもあまりにも態度が悪すぎると消すかもね」
アレッサは笑って言った

正宗
2006年05月14日 23:13
「鬼?」
アレッサがトモヤに聞き返した
「そうです、鬼がここに来るって」
「そうなの?それはそれは、愛しいアルテマさんに会えるのね」
「はぁ」
アレッサは明るく振舞った、まるで鬼の件から避けてるように
「アレッサさん、本当のことを教えてくれよ」
ココノカがアレッサの心情に勘付きいきなり問いただした
「鬼がここに来るのは別に問題じゃない、ケド」
「けど?」
「ナンバーズが鬼を追ってくるかもしれないの」
「え?」
「鬼はもともと『オーガ』て呼ばれてて、ナンバーズとは昔から敵対していたの、それに銀界の騒動を一通り見させてもらったけどやっぱり何度か接触しているのよ」
「戦闘・・していたって事ですか?」
「そうよ、特にガノンって短気な奴が一人遣ってるのよ」
「アレッサさん、それは本当?」
「ココノカには嫌な話だけどね」
ココノカはうつぶいて何もしゃべらなくなった
ゴウン ゴウン
「何だ?何の音だ?」
「『アハズク』だ!、鬼が帰ってきた!」
今までうつぶいていたココノカに笑みが戻った
「いよいよ、鬼との対面かぁ」
トモヤの顔には冷や汗がたれていた
正宗
2006年05月14日 23:23
「ふぅ、旨いねぇ空気が」
「行くぞい、バソウ」
「へいへい」
「兄ちゃん!」
ココノカが大きな声でバソウを呼び、てを振った
「おぉ、ココノカ!元気だったかぃ?」
「うん、どうだった?銀界は?」
「え?そうだなぁ結構楽しかったかな?」
「嘘をつくな阿呆が」
「あ、アルテマさん」
「さんはやめろ坊主」
(あれが隊長のアルテマ、やばいな一歩動けない)
みなが盛大に盛り上がっているとき、一気に静まり返ったのはベリアルが降りてきたときだった
「ベリアル?」
アレッサが近くにかけより顔を確かめた
「退け、おれぁ忙しいんだ」
「合言葉は?」
「ッチ、面倒だな『山の竜は地を喰らい、天の竜は雲を喰らう』」
「OK!本物ね」
「当たり前だ」
「なぁ、どういう関係?」
「あ?あぁ、婚約者、ベリアルさんが一回死んだって情報が入ったからな一度は打ち切りになったんだけど、多分明日にでも式挙げるよ」
「ふぅん、ケドさっき愛しいアルテマさんって」
「あれはベリアルさんが生きてるか分からなかったからだよ」
「なろほど」
トモヤは少し不満に思った
秋葉 時雨
2006年05月15日 01:14
鬼達が船の上で騒いでる間にベリアルはドンx2塔の中へと進む。そして誰もいないのを確認するとニヤッと笑った。
『フウ・・・慣れない体で演技するのは疲れる物だ』
そう言って、ベリアルが腰に差していた赤い日本刀を抜く。それは悪魔村で破れた魔剣士、ベルギオスの刀だった!
『さて、十二王具とはどんな武器なのか・・・楽しみだ』
狂気に包まれた笑いをベリアル否、魔剣ベルギオスがした。